ニュージーランド「住宅価格崩壊」が意味すること インフレ対策利上げで資産価値はここまで急落

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ニュージーランドは世界でも最も住宅価格が高い国の1つだ。不動産仲介のレッドフィンによると、ニュージーランドの住宅価格の中央値は約48万ドル(約6800万円)で、アメリカの約40万7000ドル(約5700万円)より高い。

「週ごとに生活費を稼いで、支払いに追われている人はたくさんいる。こうした人々の手取りのかなりの部分は住宅費に消えている」。中道右派の野党・国民党の議員、クリス・ビショップは、「これが格差や全般的な貧困を深刻化させる大きな原因になっている」と語る。

低金利がいつまでも続くとは限らない

歴代政権は政策対応を試みてきたものの、問題の解決には至っていない。国民がこの問題を極めて重視していることは、政治家もよくわかっている。ニュージーランド準備銀行によると、ニュージーランドでは持ち家を所有している人が多く、世帯資産の57%は土地と住宅で占められている。

問題に一段と影を落としているのが、珍しく与党間でそろっていた住宅政策の足並みに乱れが生じてきていることだ。

2021年にニュージーランドの2大政党は、郊外が無秩序に広がるのを防ぐ目的で、都市や町の中心部に3階建ての建物を建築しやすくする法案に共同署名した。しかし、国民党を率いるクリストファー・ラクソンは今年5月、方針を巻き戻し、都市の端に広がる旧農地に多くの住宅を新たに建設するという、以前支持していたモデルを再度支持するつもりだと語った。

首相のクリス・ヒプキンスは、この法律を取り消すのではなく、改善案を出すよう、国民党に求めたと話した。

こうした両党の対立する政策は、10月の国政選挙で国民の審判にさらされることになる。

そうした中で、住宅所有者はそれぞれができる範囲の工夫で、住宅ローンの支払額の上昇に自宅価値の下落が組み合わさるという、厄介な状況を乗り切ろうとしている。

42歳のリサ・ランバートンは最近、ワンガヌイという都市にあった自宅を売却。家族が住む地域により近い、もう少し北部の家に引っ越す予定だという。住宅ローン金利が上昇していることについての見方は冷静だ。「持ち家があれば、どこかの段階で金利が不利になることはある」と、ランバートン。「私としては、いつでも起きると思っていたことだ」。

(執筆:Natasha Frost記者)
(C)2023 The New York Times

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