ニュージーランド「住宅価格崩壊」が意味すること インフレ対策利上げで資産価値はここまで急落
パンデミック期間中は住宅ローンの金利が低く、融資基準も緩かったため、こうしたチャンスを利用して人々が住宅を購入、住宅価格は50%近く上昇した。ところが、タカ派の中央銀行が、インフレの進行を止めようと、世界でもとくに積極的な利上げを開始すると、住宅価格は2021年11月以降、17.5%下落。これにより、60億ドルを超える世帯資産が失われたと、ニュージーランド統計局は推計している。
昨年12月までの3カ月間で住宅販売は記録的な水準に落ち込み、今では住宅が売れるのに平均47日かかるようになっている。中には数カ月たっても売れない住宅もある。
ニュージーランドでは、1980年代初頭から住宅建設が人口増加に追いつかない状態が続いていた。住宅建設が可能な地域を制限する法律が新たに施行されたたり、建設費が高騰したことで、住宅開発が妨げられたためだ。
変動金利で住宅ローン支払いが爆上がり
ニュージーランドの不動産価格は、金利変動の影響にとりわけさらされやすい。アメリカの住宅ローンには実質的な政府保証がつけられ、多くの場合、30年という長期間にわたって一定の金利が設定される。
これに対し、ニュージーランドの住宅ローンでは、固定金利が設定されたとしても長くて2〜3年だ。住宅購入希望者や所有者が新たに住宅ローンを借りる場合は、少なくとも6.5%の金利を支払わなければならない状況となっており、2020年の約2%から大きく上昇している。
住宅危機はニュージーランドのほとんどあらゆる人々に悪影響を与えている。そこには、公営住宅の入居を延々と待ち続けている人たち、持ち家には手の届かない借家住まいの人たち、さらには不動産に大金を注ぎ込んだものの資産価値が大幅に目減りしてしまった裕福な人たちも含まれる。