スカイマーク、「天下り人事」に隠された真の狙い まさかのタイミングで国交省OB3人が再就職

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安全運航に関わる不適切事案の発生は、羽田空港国内線の発着枠減少につながりかねない大問題だ。羽田の国内線は、キャパシティに対して、航空各社からのニーズが多いドル箱路線。飛ばしたくても飛べない状況となっており、国交省が5年に1度、航空各社へ再配分している。

発着枠の再配分に当たっては、地方路線の振興に寄与したかなどいくつかの要素があるが、重要視される事項の1つに、「安全の確保」というものがある。飲酒事案などを起こしているスカイマークは、競合からこの項目で劣後する可能性がある。とはいえ、挽回すべく、再発防止策を国交省にアピールする必要がある。

航空局安全部長を務めた高橋氏は、2014年にスーパーで万引きをしたとして、窃盗容疑で書類送検(その後、不起訴)されている。一方で、業界関係者からの評価は高い。「面倒見がよく、いろいろな人に好かれる」、「航空業界の安全運航に関する知識が非常に深い」など同氏と面識のある航空会社元幹部は称賛する。

洞社長の権力基盤強化の狙いも

2つ目の狙いは、洞氏の権力基盤強化だ。佐藤氏は、洞社長と同じく航空局長を務めた経験があり、洞社長から見ると佐藤氏は国交省の後輩に当たる。佐藤氏について、業界関係者からは、「穏やかな物腰で、ANAやJALどちらかに肩入れすることのないバランス感覚のある優秀な役人」と高い評価が聞こえてくる。

スカイマークの取締役体制は、非常に複雑だ。社内の取締役が6名、社外取締役が4名という構成。計10名のうち6名の取締役は、同社の大株主で経営再建を担ってきたインテグラル、ANAホールディングス、日本政策投資銀行(DBJ)出身者で占められている。

洞社長自身も国交省を退職して以降は長年、ANAグループに在籍していた。だが、スカイマーク社長就任に当たっては、ANA以外にも、インテグラルの後押しがあったとみられる。

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