新興国の成長は本物か? 米系情報ベンダー幹部に聞く

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 実は当社の経営層には共通したマインドセットがあります。それは新興国経済の成長に対する信頼感。なぜならマネジメントクラスの9割が新興国出身なのです。私はブラジル出身ですし、他にはロシアやインド出身のメンバーがいます。われわれは実感として新興国の貧しさも熟知していれば、高い経済成長が生むさまざまな問題も理解しています。ビジネスを始めた当初はわれわれの実感は先進国とは共有できませんでしたが、今は先進国もみな、新興国に注目しています。

■プロダクション・オリエンテッドな経済成長

--新興国の成長は決して過大評価やバブル的なものではなく、実体があると考えていますか

私はエコノミストではありませんけれども、新興国の経済成長は金融的なレバレッジに依存している部分は先進国よりずっと少ないと考えています。というのは顧客の関心対象を根拠にしているのですが、新興国について求められるデータは金融関連よりも、モノの生産や消費といった現実のセクターデータが圧倒的多数です。もちろん金融の働きもありますが、より「プロダクション・オリエンテッド」なのが新興国経済なのだと考えられます。

ですから新興国経済情報のリーディングプロバイダーを目指すわれわれとしても、今後はより特定国のセクター情報を掘り下げたデータや、鉄鋼や不動産など注目すべき分野について複数国のデータを横断的にまとめることなどを検討しています。

データというのは大きなイベントの後に需要が高まります。金融危機後の09年は、世界で何が起こっているのか知るために、われわれのデータを求める人が増えました。今回の日本の震災でも、日本国内のエネルギーの生産・消費量の動向などが注目されています。世界的にも、原子力エネルギーに関するデータが求められています。
(杉本りうこ =東洋経済オンライン)

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