"死亡事故"が警鐘を鳴らす「日本のサウナ」の未来 「より熱くより冷たい」を追求する現状の違和感

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たとえば、日本の強冷水風呂をウリにした施設や自然の清流などに身を沈めるとき、多くの日本人が雄叫びを上げ、必要以上に全身をバタつかせ、冷水から逃げるように駆け出していくのを見かける。

とりわけ、大自然の中で楽しむテントサウナなどのアウトドア・サウナでは、出口を飛び出した瞬間、つい開放感からハイになり、絶叫しながら一目散に水流の中に疾走したり、施設の水風呂では絶対にやらないダイブをしてしまう人が多いのではないか。

「凍った湖」でも動じないフィンランド人

他方、フィンランドの湖畔サウナやアヴァントでは、とにかく皆「淡々と」入水していくのだ。

真冬の凍った湖へと伸びる桟橋や階段でさえ、無言でてくてく歩いてするっと入水し、叫び声ひとつあげず数十秒じっと身を沈めたりひと泳ぎしたりして、再び涼しい顔で陸に上がってゆっくりベンチに腰を下ろす。

日本からやってきた筆者の知人は、あまりに淡々と続くフィンランド人たちの冷水浴の光景を見て、「まるで荷物がベルトコンベアで運ばれているようだ」と逆に驚嘆していた。

これは、「冷水浴の際に興奮状態に陥ると、かえって危険だ」ということを、フィンランド人が経験的に理解しているからこそのふるまいだ。

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