政治家の「遺憾の意」にモヤっとしてしまう理由 事態を引き起こしたことに対する責任は曖昧に
政治では何らかの問題が発生すると「こうした事態を引き起こしたことは極めて遺憾である」「国民の皆様にご迷惑をおかけしたことは甚だ遺憾」という言葉を耳にすることがあります。まるでテンプレートに貼り付けた定型文のようにも聞こえます。
この場合の「遺憾」は国民(有権者)に対して「残念に思うこと」を表明していますが、事態を引き起こしたことに対する責任は曖昧になったままです。「遺憾」という言葉は非常に使い勝手のいい便利な言葉で、政治家が責任を放棄しているように見えるのは私だけでしょうか。
「遺憾」以外にも責任を曖昧にする言葉にはある特徴がありますので紹介します。
例:なんらかの疑惑がスクープされ追及を受けている。
2.本件につきましては前向きに検討して参ります
3.ご批判を踏まえ、一旦立ち止まります
4.ご意見は真摯に受け止めたいと思います
5.批判につきましては厳粛に受け止めます
1~5に関しては、国会答弁などでもおなじみです。すべてゼロ回答で結局は何もしない場合に便利です。使用される局面は「ほとぼりが冷めるのを待つ」状況です。政治の場面では許されるかもしれませんが、取引先や上司に使ったら大変なことになりそうです。
つぎは、政治家言葉で物議を醸した事例を紹介します。
ほかにもたくさんある政治家言葉
2019年、汚染水受け入れ可能性について「東京電力福島第一原発の処理済みの汚染水対策の所管は環境省でない」との小泉進次郎環境相(当時)の発言が物議を醸したことがありました。これに対して、日本維新の会の松井一郎代表(当時)は、「将来、総理を期待されている人が『所管外だ』とか、そういうことで難しい問題から批判をそらすようなのは非常に残念だ。真正面から受け止めてもらいたい」と指摘します。
「所管」には「権限をもって管理すること。また、その範囲」とする意味がありますから、「管轄外、担当外」であることを示唆したものと考えます。その後、小泉氏は「軽々に所管外の者が発言することで、福島のみなさんを傷つけることはあってはならない」との発言もされますが、「所管外の者が発言する」ことと「福島のみなさんを傷つけることはあってはならない」は異なる文脈ですからつなげるには無理がありました。
「所管外」は誤解を与えやすい言葉です。社長が同じ言葉を口にしたらどうなるでしょうか。それこそ誰も発言ができなくなります。所管外なのですから。
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