AppleWatch、あえて静かなるデビュー お祭りとは無縁、上質イメージを演出か

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「予約開始初日の4月10日に予約しました」と語る、都内から来た35歳の男性デザイナーは、7万円台のスポーツタイプを手に入れた。アップル製品を時計として使うのにも「違和感はない」という。福岡から出張で東京に来たという27歳の会社員も、7万円台のスポーツタイプを購入。「(iPhoneに届いた)メールの通知などを瞬間に見ることができる」のが魅力だと説明する。

行列の中には、製品をかたどった、被り物を身につけた人たちも。こちらは毎度おなじみの風物詩だ

基本的にApple Watchの場合、iPhoneと連動して使用する。もちろん時計としても使えるが、iPhoneあってこそのApple Watchだ。

ウエアラブル端末として常に身に着けているため、LINEの受信などを音・振動で知らせることで、iPhoneを1日何度も頻繁に取り出す手間が省ける、というわけである。そのほかにも、音声操作や道案内、音楽再生などにも利用できる。

もっとも値段は、決して安くない。アルミニウムケースを使った廉価なスポーツタイプは最低価格で4万2800円(税別)。ステンレススチールケースを使った標準タイプは6万6800円(同)からだ。18金のゴールドケースを使ったエディションタイプは、最高価格で何と218万円(同)もする。高級腕時計としてみれば、高すぎるとはいえないが、デジタルガジェットとしてみれば、従来のアップル製品より格段に高い。

ファッションに関心ある層も

伊勢丹でアップル製品を買う時代になった

販路の選別や価格帯をはじめ、まさに異例づくめのApple Watch。明らかにITオタクやアップルファンだけでなく、ファッションに敏感な上質な層も取り込み、対象とする顧客のウィングを広げたいという、アップルの意図が透けて見える。

「脈拍を記録するなどヘルスケア的な使い方にも関心がある」というのは、予約した製品を無事受け取って店舗から出てきた、29歳の男性会社員。Apple Watchも含め、ウエラブル端末はいかにして、新たな使い道を客に提示できるかだろう。その意味では対応する面白いアプリがどれだけ出てくるかにかかっている。

想定外に静かな幕開けを迎えた、Apple Watch商戦。これまでのアップルとは、どれだけ違う進化を見せてくれるのか。

                       (撮影:尾形文繁)

大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。資産運用や相続、年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。大野和幸(X)

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