北大阪急行線、延伸で急上昇する「箕面」の知名度 2023年度末、御堂筋線の行き先が「箕面萱野」に

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箕面市の人口は2023年4月末時点で13万8892人。大阪北部の主要なベッドタウンの1つであるほか、箕面大滝や勝尾寺をはじめ、紅葉の名所というイメージが強い。広報紙は「もみじだより」、文化施設は「メイプルホール」と市はモミジを前面に押し出している。

また萱野は、赤穂藩士・萱野三平重実ゆかりの地として知られる。主君・浅野内匠頭長矩による松之廊下刃傷事件の発生を赤穂に急報した人物で、討ち入りへの参加を希望するも、父親は反対。忠孝の間で思い悩み、主君の月命日に自刃したとされる。東京・高輪の泉岳寺には四十七士の墓とともに供養碑がある。現在も萱野三平旧邸が大阪府指定史跡として保存されていて、国道171号線の阪急バス「萱野三平前」のバス停にも名を残す。

箕面萱野駅予定地
箕面萱野駅の予定地。バス停名は「かやの中央」(記者撮影)
箕面萱野駅
箕面萱野駅南側。高架橋上より撮影(写真:北大阪急行電鉄)

現在、箕面市で鉄道駅があるのは市西部のみ。阪急電鉄宝塚線の石橋阪大前駅から箕面駅へ箕面線が延びていて、沿線に箕面市役所や公共施設が点在する。「ミスタードーナツ1号店」は箕面駅近くにある。北大阪急行線延伸によって千里中央を発着する箕面市内へのバス路線も箕面萱野を核として再編されることになる。

箕面市地域創造部鉄道延伸室の担当者は「これまで鉄道空白地帯だった地域で、東西方向の交通利便性も向上する。鉄道の定時性・速達性のメリットを享受できるほか、自動車依存度を下げることで道路渋滞の緩和や環境面で期待できる」と強調する。そのうえで「駅前施設が充実して市全体の魅力がアップすることをアピールし、若い世代の定住につなげたい」と話していた。

行き先が「箕面萱野」のインパクト

箕面市と北大阪急行電鉄は延伸に向けて9000形(10両編成)を3本増備する。2023年8月1日から順次、北大阪急行線・御堂筋線で運行を開始する。9000形は2014年4月以降に導入された車両だが、増備車では新たに防犯カメラを設置する。

「箕面ラッピングトレイン」として、2本の前後2両ずつには箕面をPRする装飾を施す。箕面大滝や紅葉を基調に四季の移り変わりを描き、残る1本は箕面PRキャラクター「滝ノ道(たきのみち)ゆずる」と「モミジーヌ」のイラストを車体に大きくラッピングする。「難読地名と言われることがあるが、ひらがなやローマ字を併記することで読み方も浸透させたい」(市の担当者)という。

北大阪急行電鉄延伸事業部の担当者も「これまでの箕面はアクセスに少々時間を要したが、大阪都心に直結する鉄道が延びてくるため利便性が格段に向上する」とメリットを挙げる。開業後の運行ダイヤについては、現時点で未定といい「大阪メトロ等の関係者と調整のうえ、決定次第お知らせします」と説明している。

現在の千里中央行きの電車は「基本的には箕面萱野駅折り返し」(同社)となる。北大阪急行沿線に出かけるわけでなくとも、大阪市内で地下鉄に乗れば御堂筋線を中心にいたるところで「箕面萱野」の表示を目にすることになる。これまで大阪の“奥座敷”といったイメージが強かった箕面の存在感が急上昇することは間違いない。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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