商売で2つの選択肢を迫られた際に考えたい損得 中学生でもわかる「遊園地出店ごっこ」が映すこと

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そのときナ先生が思わず口をはさんだ。

「あら、とてもいい話し合いをしていますね! 先生はどの場所にオープンしても売り上げと経費は同じにしたけれど、実際はそうとは限らないわね」

「そうなんです。アトラクションごとにそれぞれ特徴があるから。それで、私たちは子どもたちがよく乗るメリーゴーランドの隣に『ナポリピザ』を置こうと思ってるんです」とジェヨン。

「ジェットコースターは、私たちみたいな学生や若い人たちが多いから、私たちが大好きなメニューをその隣に置いたらどうかなと思ってます。でも、チキンとトッポッキのどっちがいいか決まらなくって……。両方とも大好物だから、どっちをあきらめるべきか迷います」

ソナの言葉に、ジェヨンが質問を投げかけた。

「私もどっちも好き。だけど、私たち2人ともチキンのほうをよく食べるから『マンナチキン』を選んだことにしてみようよ。そしたら利潤はいくらになるかな?」

「売り上げ40万円から経費を差し引いても30万円稼げるね。利潤がそのくらいなら十分商売になるんじゃない?」とソナ。

「ソナ! そこだけ考えちゃダメよ。あきらめたほうのことも検討しなくちゃ!」

ジェヨンがちょっと得意げに言った。

「あきらめたほう? ああ、トッポッキ?」

そう答えたソナに、ジェヨンは指でOKサインをしてみせた。

「たった今、ソナとジェヨンがとても大事なことを話していましたね!」

「オレたちもチキンとトッポッキで大いに迷ってたんです!」

ナ先生の発言を聞いて、隣のチームのシヒョンがそう言った。

「みんな『マンナチキン』と『ピリ辛トッポッキ』で迷ったようね」

実験経済部の全員がうなずいた。

「よりによっていちばん好きな二大メニューがペアになったから、しかたなく片方をあきらめなくちゃならないんです」とジェヨン。

「そうですね。私たちの暮らしのなかにも、こういう選択の場面がよくあると思います。そんなとき『あきらめるものの価値』も一緒に検討することが必要になるんです」とナ先生。

機会費用、目に見えない費用も含まれる!

「あきらめるものの価値ですか?」

「ここでは『ピリ辛トッポッキ』を選んだときの利益が、あきらめたものの価値ですよね?」

シヒョンとソナが続けて発言した。

「そうです。選ぶ基準は人によって違うだろうけれど、今回のゲームでは利潤を第一に考えて選んでみましょう。ジェヨンの言うとおりに『マンナチキン』を選んだ場合、40万円の売り上げ額から経費の10万円を差し引いて30万円の利潤が残りますね。それは合理的な選択と言えるのでしょうか?」とナ先生。

「言えません!『ピリ辛トッポッキ』を選んでいれば、利潤は32万円だったんですから」

ジェヨンが元気な声で言った。

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