戦後に食べられた「ハンバーグ」その驚きの中身 米国文化の影響、戦後のベビーブームとの関係
急増した輸入羊肉と馬肉。しかしながら、日本において羊肉、馬肉を食べ慣れていたのは、一部の地域の人のみ。しかも輸入羊肉や馬肉は値段相応の品質。その肉質は硬く、羊肉に関しては独特の臭みがありました。
ただでさえ食べ慣れていない、しかも硬く匂いのある肉をどうやって団塊世代の子どもたちに食べさせるのか。
昭和時代にハムやソーセージ、ハンバーグなどの畜肉加工品を購入した人は、その原材料表示欄に羊肉や馬肉の表示があったことを記憶していることと思います。羊肉や馬肉は、子どもたちに人気のハンバーグなどに加工されたのです。
ハンバーグは、硬くて臭みのある肉の消費にうってつけの加工品でした。肉の硬さは挽肉にすることで気にならなくなりますし、タマネギには肉を柔らかくし、臭みをマスキングする効果があります。
しかも昭和時代のハンバーグは、トマトケチャップとソースという味と香りの強い調味料で食べていました。そのため、多少の匂いは気にならなかったのです。
団塊世代の成長を支えたハンバーグ
外食業においては原材料の表示義務がないため、洋食店のハンバーグに羊肉や馬肉が使われていたか否かはわかりません。
しかしながら、ハンバーグを看板にする洋食店が激増したのは、羊肉と馬肉の輸入が急増した1962年のこと。おそらくは羊肉や馬肉を使用した安いハンバーグを、目玉商品にする店が増えたのではないかと思います。
1950~1960年代の料理書・雑誌を読むと、イワシやイカなどの安価な魚介類を、ハンバーグの材料に使うレシピが頻繁に登場します。
クジラにマグロ、イワシにイカ、羊肉に馬肉。安い動物性タンパク質は、ハンバーグに加工されることによって、団塊世代の子どもたちに抵抗なく受け入れられました。
戦後アメリカへのあこがれから普及したハンバーグは、団塊世代の成長を支えることによって、日本の洋食を代表する国民的な料理となったのです。
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