東日本大震災、その時、医薬品卸会社は《1》東邦薬品--非常時に備えた訓練が奏功、被災地への供給責任を果たす
ただ、大震災が起きて初めてわかりましたが、通信手段がすべて遮断されてしまった中で、どの医療機関でどの医薬品がどれだけ足りないかをつかむことができなくなりました。また、ガソリン不足も深刻化し、運送体制にも支障が生じました。電話回線はすべてつながらなかった。衛星回線はありますが、バッテリーの問題があり、長時間は使えませんでした。医療機関との震災時のネットワーク構築は今後の課題だと考えています。
東邦薬品東北事務所内の倉庫
取りそろえた医薬品を業務用自動車に積み込む
震災直後に稼働した自家発電装置
震災翌日には宮城県警から必要最少限度の台数の緊急車両の指定を受けることで、迅速な物流の維持を図りました。石巻赤十字病院から「破傷風トキソイド(ワクチン)をあるだけ持ってきてほしい」との注文を受けましたが、県内の分だけでは足りなかったため、東京からも12時間かけて石巻赤十字病院に納入しました。3月12日夜10時前のことです。宮城県の薬務課と石巻赤十字病院との連携で当地の卸組合への要請があり、東京本社が当方との連携により石巻赤十字病院に納入しました。
--被災地では医薬品が不足しているとの話もあったと聞きます。
病院に医薬品がないとか、医薬品が届かないといった報道がありましたが、正確ではありません。そういった報道がされると、患者さんもパニックになり、医療機関も抱えこむことになりがちです。当社は通常の発注データを元に適正供給に全力を尽くしました。