イタリアの「元祖パノラマ」名車復活させた原動力 朽ち果てた車体復元、財源はどこから出ている?

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では、一度はスクラップ寸前の状態となった1960年代の車両を通常の運行ができる状態にまで完全に復元した、イタリア鉄道財団の財源はどうなっているのだろうか。

イタリア鉄道財団では、財団創立メンバーであるイタリア鉄道FS、旅客運行子会社トレニタリア(Trenitalia)、インフラ子会社RFIの3社からの寄付金のほか、国や地方自治体、欧州連合などの公的機関からの寄付金、民間からの寄付金、動産および不動産の売買による収益、財団の資産から生じる年金などの配当金による収益、保有する株式による収益などがある。

政府が保存をバックアップ

民間からの寄付については、筆者も一度財団へ寄付を申し出たことがあるが、個人からの少額の寄付は受け付けていないようで、今のところは企業などからの大口の寄付で賄われているようだ。

なお、2015年からは政府の文化遺産観光省が協賛パートナーとして名を連ねている。古い車両のほか、歴史的価値のある駅や信号所などの建築物、廃線となった風光明媚なローカル線など、鉄道関連施設や路線そのものを文化遺産と位置付け、国がこれらの保存に全面的なバックアップを約束しているのだから心強い。

FS財団では現在、冒頭で触れた世界的に有名なETR300型セッテベッロのほか、1957年に運行開始した国際特急TEE用のALn442-448型気動車、数々の超特急を牽引したE444型高速旅客用電気機関車などの完全復元を目指して修復工事が進められている。これらの歴史的名車が、再び本線上を疾走する日が一日も早く訪れることを願ってやまない。

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橋爪 智之 欧州鉄道フォトライター

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はしづめ ともゆき / Tomoyuki Hashizume

1973年東京都生まれ。日本旅行作家協会 (JTWO)会員。主な寄稿先はダイヤモンド・ビッグ社、鉄道ジャーナル社(連載中)など。現在はチェコ共和国プラハ在住。

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