ロシアはウクライナの弾薬の枯渇を狙っている 佐藤元外務副大臣、防御的な弾薬提供に前向き

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橋下徹氏(番組コメンテーター・弁護士・元大阪府知事・元大阪市長):ビーフシチューも否定はしない。外国に武器や弾薬を提供できない、いまの防衛装備移転三原則は日本が有事になることはないことが大前提だ。日本の憲法は紛争や戦争がない理想の世界を目指していて、そこから理屈を考えていくと、日本は有事に巻き込まれないとの前提でさまざまな安全保障の制度ができている。しかし、いま国際情勢は違うではないか。日本も有事に巻き込まれたときに、自国だけですべて武器や弾薬を賄えるわけない。とくに弾薬は本当に足りない状況だ。日本が有事に巻き込まれたときに欲しいもの、他国に「ください」というようなものを、日本はいざというときに他国に「渡しません」というのは通じない。日本も「渡します」、だから日本にも「ください」というのが国際社会のルールだ。ただ、現実はロシアと日本は国境を接しているから、これは政治の判断だ。ミサイルや戦闘機を渡すなどというのは、その微妙な関係を見なければいけない。日本だって有事に巻き込まれたときでも日米同盟があるから世界各国に「ミサイルください、戦闘機ください」という必要はない。日本が必要とするものが弾薬だということであれば、それは他国にも渡さなければいけない。渡し方も直接ウクライナに渡すのではなく、アメリカに渡してアメリカからウクライナに渡すなど、やり方はいろいろある。一律で武器と弾薬(の提供)は全部だめだというのは、日本の有事のことをまったく考えてない理屈だ。

防衛装備移転三原則の見直しと緩和

松山キャスター:与党で防衛装備移転三原則の運用の見直しがいま協議されている。殺傷能力があるものを渡せるのかどうかという議論もある。原則をどこまで緩和するべきか。

佐藤氏:2つの観点がある。日本有事、台湾有事も含めた、日本にとって有利な国際環境を作るために装備移転をする場合と、ウクライナのように国際法違反の侵略を受けている国に対する支援という2つの観点だ。殺傷兵器、非殺傷兵器というが、殺傷兵器の定義というものはない。実は今でも自衛隊法でいう武器が渡せないかというとそうではない。例えば、掃海艇。掃海艇は機雷を破壊するために機銃を載せており、武器だ。それをまったく渡せないというわけではない。防御的な兵器もある。ウクライナの無辜の市民が、ロシアのミサイル攻撃で犠牲になっている。防御的な対空火器や、対空火器の弾薬はいま本当に足りない。防空火器の弾薬の枯渇をロシアは狙っている。それに対して本当に支援しなくていいのか。では、日本が有事のときに、ほかの国から防空火器や防空火器の弾薬をもらわないで、東京や大阪、あるいは原発、これらを守るためのものは十分なのかというと全然足りない。ウクライナのように1年以上日本の有事が続いた場合、継戦能力を考えれば、自衛隊と日本の防衛産業だけで弾薬・武器が十分足りるかというと全然足りない。であれば、同盟国、同志国で日頃からこういう武器・弾薬についてはそういうやり取りができるようにストックしておくべきではないかということを含めていま(与党で)議論している。

(画像:FNNプライムオンライン)
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