「就活を親がサポート」過保護といえない切実事情 大学のキャリアセンターを頼れなくなっている

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大学側が提示するデータは、個別の事情や納得度を考慮したものではないため、学生の感覚と親御さんの認識との間に齟齬が生じてしまうのです。

このように、大学には学生が自身の就活について相談できる場所は、「ほぼない」というのが現実です。親御さんがサポートに回ることの意義は、こんなところからも見えてくるのではないでしょうか。

就活は、親にとっての「子育ての総仕上げ」

これまでお話ししてきたように、親御さんの学生の頃とお子さんとでは、時代背景も就活の状況も違います。しかしそれを踏まえたうえでも、私は、お子さんの就活のサポートは、親御さんがするのが一番だと考えています。

それは、親御さんこそがお子さんを一番よく理解しているから。そして就活こそがお子さんの独り立ちーー子育ての〆であるからです。

多くの親御さんはきっとたくさんの愛情と時間、そしてお金をお子さんにかけてこられたことでしょう。これまでに、学費も相当かかっているはずです。そこまで手をかけてきたお子さんだからこそ、いい企業にいって、いい社会人人生を歩んでほしいというのが親心ではないでしょうか。

また、キャリアの最初をどこで過ごすかーー就活の結果次第で、生涯賃金は最大で3億円ほど変わってくるともいわれています。年収も学歴や企業のランクと同じで、高ければすなわち幸せというものではありませんが、評価されないよりはされたほうがいい、と思うのは当然です。

就活という段階にまで成長されたお子さんは、すでに自分の力で自分の道を切り開いていく力を持っています。親御さんにできることは、徐々に減っていっているかもしれません。

しかし、お子さんが就活をやりやすく感じるか、やりづらく感じるかと、親御さんのサポートを切り離して考えることはできません。お子さんは、

「親は就活のことを全然わかってくれない」

「親の考えは古くて参考にならない」

などと言うかもしれません。

しかしそれでも、お子さんはいつまでも親御さんの行動や発言や価値観に影響を受けているはずです。

どうぞ、お子さんの未来を一緒に見て、悩んでいるときには手を差し伸べる、そんなサポートをしてください。少なくとも、古い知識や常識でお子さんを縛ったり、変なプレッシャーをかけたりしないであげてください。

親子で乗り越えた就活の先には、お子さんの最高のファーストキャリアと、「いつまでも子どもだ」と思っていたお子さんのりりしい横顔にはっと驚く瞬間が待っていることでしょう。

次ページとはいえ、親が「手を出してはいけない領域」もある
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