「貯金増えない→家賃見直す」発想の根本的間違い 問題解決できない人は「なぜ」に答えていない

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例えば、先ほどの例でいえば、「貯金が増えない」という要因は大きく2つに分けられます。支出が多いか(out)、あるいは収入が少ないか(in)、この2パターンです。

【支出面】
支出にも、日常生活を行ううえで必要なもの(must)と、そうでないもの(want)があります。
●must 家賃/食費/水道光熱費/通信費 etc.
●want 飲み代/洋服代/動画コンテンツなどのサブスク代 etc.
【収入面】
一方で、収入がなぜ増えないかと考える際も、次のような真因候補(要因たち)が存在します。
●業界全体の賃金が低いから/会社の賃金が低いから/副業できないから etc.

仮にこのケースの場合、「貯金が貯まらない」の真因が、分析や検証の結果、「自分が働いている業界全体の賃金が安いから」という結論に帰着したならば(問題に対する寄与度が最も高ければ)、その段階ではじめて、「ではどうやって別の業界に転職する?」といった解決策、つまりHowの話に思考フェーズが移るわけです。

仕事における複雑な問題解決も同様で、必ずWhyからHowの順に思考フェーズを進める、この順番を守ることが思考整理のベースになります。

思考迷子になりやすい人が陥るワナ

2つ目のポイントは、正しいWhyとHowを選び取るということです。真因特定や解決方法を模索するなかで、こんなことを思ったことはありませんか?

「これってただの正論だよね?」
「常識的に考えて実現不可能だ」

前者は正論を否定して、後者は常識を肯定しているようにもとれます。この2つを考えるうえで必要なことは「どちらが正しいか?」です。根性論や精神論の類いだと誤解されないよう、まずは「常識」と「正論」という言葉の定義についてご説明します。

「常識」というのは、英語では「common sense」、つまり共通の認識です。そこには、正しい、間違っているという意味はなく、いわば数の多さでしかありません。多くの人が黒い犬のことを白い犬だと言ったら、それは白い犬になるのです。これが共通の認識であり、常識という言葉の奥にあるひとつの性質です。

「正論」というのは科学的に証明されていること、ロジックが成立していることを指します。常識を肯定して、ファクトを否定するということは、大勢の人が犬(実際にも犬)を見て、「あの動物は猫です」と言うことを肯定し、犬(実際にも犬)を見て、「あの動物は犬です」という主張を否定するようなものなのです。

こんなのおかしいですよね? 正しさ(真実)に勝る論はないというのはけっして綺麗事ではありません。

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