リニア、「時速600キロで営業運転」の可能性

世界記録更新の先に何を狙うのか

「営業運転のためのデータは、600キロ運転時のほうが確度が高まる」と遠藤所長(撮影:尾形文繁)

シミュレーション上では時速600キロメートルが出ることはわかっている。実際に走行することで、シミュレーションとの違いを知り、今後の確度向上につなげるという狙いもある。

「時速500キロ運転を間違いなく行うためのデータは、550キロ運転時よりも600キロのほうが確度は高まる」(遠藤所長)

試験終了後、リニアに乗車していた遠藤所長が車内の状況を説明してくれた。意外にも、世界最速を達成した瞬間の車内の雰囲気は淡々としていたという。「技術者たちは時速600キロの“体感”を真剣に感じ取っていた」(同)。技術者にとっては、自らの体感も重要なデータだからである。

時速600キロメートルの乗り心地とは、どのようなものだったのか。「スピードが出れば出るほど安定性が増すのがリニアの長所。時速500キロを超えたほうがむしろ安定する。非常によい乗り心地だった」と遠藤所長は言う。

首相訪米にタイミングを合わせた?

リニアの世界記録達成のニュースは世界中を駆け巡った。「フットボールのフィールド20個分を走り抜けるのに、文章2行分を読む時間しかかからない」――。米CNNは時速603キロメートル達成のニュースをこう報じた。

JR東海は、リニアを世界に売り込むべく奔走している。とりわけ、同社が最有力候補と考えているのが米国だ。米ABCニュースは、ニューヨーク―ワシントンDC間をリニアで結ぶ計画があると伝えている。

安倍晋三首相は4月28日から5月3日まで米国を訪問し、日米首脳会談に臨む。首相と近い関係にあるJR東海の葛西敬之・代表取締役名誉会長も、すでに米国入りしている。

2人がタッグを組み、米国にリニアを売り込む可能性は高い。そう考えると、「あくまで以前からのスケジュールに合わせて行った」(JR東海)という今回の世界記録更新は、タイミング的にもぴったりで、トップ外交によるリニア売り込みの大きな後押し材料となる。

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