日本の「薄型テレビ販売1位」中国メーカーの正体 東芝テレビ事業買収、シャープと明暗分かれる

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ハイセンスの薄型液晶テレビ(撮影:尾形文繁)

シャープの2023年3月期連結決算が、台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)に買収された2016年以来6年ぶりの赤字に転落した。

そのシャープを抜いて薄型テレビの国内シェアで初めて首位に立ったのが、2018年に中国の家電大手ハイセンスグループの傘下に入ったTVS REGZA(旧東芝映像ソリューション)の「REGZA(レグザ)」だ。

シャープと相乗効果が発揮できない鴻海に対し、ハイセンスグループはハイセンスジャパンとレグザが協力体制を築いて日本のテレビ市場でシェアを3割超に伸ばしており、明暗が分かれている。

レグザ買収で上昇気流に

「家電王国の日本で知名度ゼロからスタートして、ようやく3分の1のシェアを取るところまで来た」

ハイセンスが日本でテレビ販売を始めた2011年以来、日本メーカーの高い壁と戦い続けてきた李文麗社長は達成感をにじませた。

調査会社GfKジャパンの2022年(1~12月)の市場規模データ(販売台数実績を基に推計)によると、日本の薄型テレビ市場において、ハイセンスのシェアは前年比1.4%ポイント上昇し9.3%。東芝とレグザは合わせて同3.4%上昇の23.6%。これらのハイセンス傘下を合計すると、33%のシェアだった。

李文麗(りぶんれい)/1972年生まれ、中国・青島出身。95年、青島大学電子工学科卒業、Hisense国際有限公司入社。2001年、Hisense USA、03年、Hisenseオーストラリア、07年、Hisenseヨーロッパ、11年、Hisense韓国オフィス、ハイセンスジャパン代表取締役社長・CEOに就任。51歳

転機は2018年。ハイセンスが債務超過に陥っていた東芝のテレビ事業を129億円で買収し、技術革新に共同で取り組んだ。原材料の調達や製造を統一し、レグザはコストを削減しながら、新商品の開発やマーケティングに資金を投入できるようになった。

一方ハイセンスはレグザと映像エンジンを共同開発し、画質を大きく向上させた。李社長は「ハイセンスは日本市場において、日本の画質基準に合致する唯一の海外ブランドになった」と胸を張る。

レグザに比べると知名度が劣るハイセンスブランドは、同社が得意とするスポーツマーケティングで認知拡大を図っている。

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