背景にコロナ禍?「中学受験」9年連続増加の事情 23年度の首都圏の国・私立の受験者は5万2600人

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 21年度に「サイエンスセンター」が完成した海城(新宿区)も1860人から2020人に志願者が増加。地学実験室にはボーリング工事で採取した地層の標本を展示するなど、さまざまな工夫が凝らされている。

桜蔭は22年の大学入試で東京大理III合格者を13人輩出。トップ常連の灘(神戸市)を抜き、女子校として初めてトップに躍り出た。今年も11人合格し、灘に次ぐ2位となり底力を見せた。

首都圏ではここ数年共学校の人気が続いていたが、今年は男子校、女子校の受験者が増加した。特に男子校は「難関校から中堅校まで、ほとんどの学校が増加し受験生には厳しい戦いになった」(安田さん)という。

注目は26年に明治大学の系列校となって校名も明治大学付属世田谷に変更になる日本学園(世田谷区)。男子校で最も志願者が増え、前年の5倍以上となる1322人だった。26年には男子校から共学化し、女子にも門戸を開く。明治大学和泉キャンパスから徒歩10分という絶好のロケーションで、7割くらいが推薦で明治大学に進学できるようにしたいという。

女子校でもサイエンス教育が注目

例年男子校の志願者トップの人気校、東京都市大付属(世田谷区)が、今年から2月1日の午前入試に参入し、2日の日程を廃止した。世田谷学園(同)、本郷(豊島区)、巣鴨(同)などに影響を与えた模様だ。今年も3461人の志願者を集め、男子校トップの座を維持。新設の1日午前も338人集めた。

女子校で注目されたのは、法政大学との提携を強化した三輪田学園(千代田区)で志願者は494人増の1669人。法政大学の全学共通科目「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」を、オンラインで学べるように協定を結んだ。さらに法政大学への推薦枠を30人設けた。

女子校でもサイエンス教育が注目されており、サイエンスアイランドなど施設を充実させている山脇学園(港区)や、スーパーサイエンスコースを開設した昭和女子大学付属昭和(世田谷区)、探究・教科横断型授業で先を行く田園調布学園(同)など理科教育に力を入れている学校の人気が高まっている。

埼玉は、栄東(さいたま市)の勢いが止まらない。志願者が1613人増えて1万3792人。ついに10年連続で1万人を超えた。声の教育社・常務取締役の後藤和浩さんは言う。

「栄東は、お試しだけの学校ではなくなっている。教育もしっかりしており、第1志望にする生徒も増えています」

(教育ライター・柿崎明子)

AERA 2023年5月15日号より抜粋

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