村田製作所、連続2ケタ減益予想の裏にスマホ変調 中国スマホが底を打っても楽観視はできない

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ローエンドスマホ向けの電子部品は、単価が安く収益性が低い。そのため村田製作所など日本の電子部品メーカーは、あまり手がけていない。中国スマホ自体の販売が上向いても、日本の電子部品メーカーの売上高にはあまり貢献しなさそうだ。

2つ目として挙げられるのが、厳しい値下げだ。生産の効率化などが進むにつれて基本的に毎年値下げする慣習が電子部品メーカーにはあるが、2022年末ごろから電子部品メーカーへの値下げ要求がさらに厳しくなった。この動きが今後も継続あるいは強くなりそうだ。

村田製作所は営業利益の増減要因に関する分析で、2023年度は値下げを原因に760億円の利益押し下げ圧力がかかると予想している。2022年度は、売上高が2023年度計画よりも多い金額だったにもかかわらず、値下げによる営業利益の押し下げ額は210億円だった。

在庫過多の中で強まる値下げの動き

値下げが強まっている背景としてまず指摘できるのは、スマホメーカーの収益性が厳しくなっていることだ。スマホそのものの需要が力強さを欠く中、世界的なインフレで人件費や電気代などのコストが上がっている。そのため、電子部品メーカーに対するコストダウンの圧力は強まる。

アップルのiPhone14
iPhoneでさえ、大幅な値上げも販売台数の大幅増加も難しいのが現状だ(写真:Apple)

それはあのアップルも例外ではない。「値段と販売数量を考えて、iPhoneの原価を下げようとする動きが強くなっている」(ある電子部品メーカーの社員)。

iPhoneをはじめ、スマホの最高級機種の価格は20万円を超える。購入意欲に与える影響を考えると、大幅な値上げは難しい。コストダウンに力を入れるのは必然だ。

一方の電子部品メーカー自身も値下げへと揺らいでいる。スマホの需要が鈍い中、過多となった在庫を削減する必要性が高まっている。そこで大幅な値下げによって電子部品の販売数量を増やし、シェアを取る動きが起きているのだ。

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