急成長ミネベアミツミ、14年ぶり社長交代の真意 「売上高2倍」に向け、買収路線は変わるのか
14年ぶりの社長交代で、成長を続けられるか。
ものの回転をなめらかにする機械部品であるベアリングを祖業とし、電子部品や自動車のドアハンドルなども手がけるミネベアミツミが3月1日に社長交代を発表した。2009年から14年にわたってトップを務めてきた貝沼由久会長兼社長CEO&COOに代わって、4月2日付で吉田勝彦・取締役専務執行役員が社長に就任する。貝沼氏は代表権のある会長兼CEOになる。吉田氏はCOOとCFOも兼務する。
貝沼氏は1956年生まれの67歳。一方の吉田氏は1962年生まれと、6歳若い61歳だ。吉田氏は電子機器製造本部の業務部長などを経て、2021年4月より経営管理・企画部門長などを務めている。これまで貝沼CEOは自身の引退年齢について触れてこなかったが、次世代の経営層を育成する方針だ。
今後の貝沼氏は、買収交渉や他社との連携といった、トップ同士で話す必要がある役目に注力する方針だ。一方、事業に関連する業務は吉田氏に委譲し、貝沼氏が立てた戦略や経営方針を吉田氏が具体化していくとみられる。
多忙を極めた貝沼氏
なぜ貝沼氏がCEOを続けながら、社長とCOOを譲ることになったのか。背景には、貝沼CEOの多忙が大きく影響している。
貝沼CEOは、自分で多くの物事を決め、強いリーダーシップを持つ経営者だ。決算説明会の資料にも細かく指示を出し、会食の際のお土産ですら秘書ではなく自分で選ぶ。貝沼CEOは2023年2月に行われた東洋経済のインタビューで、「口出しが多いのかもしれない」としつつも、中興の祖かつ義父である髙橋高見元会長の「自分よりも給料の安い人に自分よりもいいアイデアを求めるな」という教えを実践していると話した。
ちなみに2022年3月期の貝沼CEOの報酬総額は、基本報酬8000万円と業績連動型報酬を合わせて3億1233万円だった。
ミネベアミツミは貝沼CEOの社長就任以来、規模を拡大してきた。2009年3月期、ミネベア(当時)は売上高2561億円、営業利益134億円だったが、2023年3月期には売上高1.3兆円、営業利益1000億円を見込む。
足元ではアナログ半導体事業が好調の一方、データセンター向けの投資が弱くベアリングなど関連部品の業況が厳しいなど、事業ごとに好不況の波はあるものの、幅広い製品を手がけることで補いながら成長してきた。
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