パナソニック、AI全盛期の今「2歳児ロボ」作る意味 「パナらしさ」抜け出し、便利機能はあえて削除
岡田氏がパナソニックに伝えたアドバイスは、大きく3つある。
1つ目が、人間とロボットの関係性を、主従ではなく「並んだ関係」にすること。二コボには独自の感情エンジンが組み込まれており、人間が話しかけても必ず返事をするわけではない。「気ままな性格」は、この考え方を反映したものだ。
2つ目が、生き物としての可愛らしさを表現すること。動物の赤ちゃんが進化の過程で育児を放棄されないために獲得した「可愛らしさ」には共通項がある。
体表がやわらかく、動きがよたよたしていて、丸いほっぺたと目をしている、といった点だ。それらをロボットのデザインにいかに落とし込むか、議論を尽くした。
最後が、発する言葉。「日本語のような自己完結している言語をロボットが話すと、言葉の意味を相手に押しつけてしまうことが多い。一方、意味が固定されていない言葉なら、意味を一緒に作り上げるやりとりが生まれ、気持ちを揺り動かすことができる」(岡田教授)。こうして生まれたのが、「モコ語」というわけだ。
単なる「孤独解消ロボット」とは違う存在
岡田教授が蓄積してきたこうした知見を取り込み、完成したのが現在のニコボだ。増田氏は、ニコボに期待する価値についてこう語る。「狙っているのは、単なる孤独解消ロボットよりも少し高い価値だ。『一緒にいると寂しくない』『癒やされる』というだけでなく、人から笑顔を引き出す存在になってほしい」。
当初は1人暮らしをターゲットとしていたが、2021年に実施したクラウドファンディングでは、小さな子どもがいる家庭、夫婦2人暮らしの家庭などからも反響があったという。
汎用的な対話型AIなど人間のタスクを代替する技術が普及する中、頼りなげなニコボは、人間とロボットの関係にどのような変化をもたらすのか。社会実験が始まろうとしている。
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