サイゼリヤ、「値上げしない」のに客単価アップの謎 「サイゼで豪遊」する人が増える納得の理由

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コロナ禍もあり、注文は用紙への記入制に(写真:週刊女性PRIME編集部)

「LINEが昨年行った“好きなファミリーレストラン”という調査でもサイゼリヤが1位となっています。全体では2割弱、10代女性で見ると4割ほどと、ほかと比較するとダントツといえる評価となっていました。これは“頑張って低価格を維持している”という姿勢によって、ファンに愛されているのではないでしょうか。応援したいという気持ちにもなるでしょう」

デニーズなど、もともとの価格がサイゼリヤより高く設定されていたファミリーレストランも多い。そのようなサイゼリヤと比較して“高価格帯”の同業チェーンから客が流入した結果とも考えられるのだろうか?

“値上げをしない”がいちばんの差別化

「決算の数字を見ると、サイゼリヤの来客数は回復傾向にはありますが、コロナ禍の前より増えているわけではない。やはり1人当たりの注文数が増えていることが客単価が上がっている要因でしょう。値段が安いので頼みやすく、他チェーンと比較して、より“お得感”を感じられて財布のひもも緩みやすい。

財布のひもの固い人はたとえばラーメンのトッピング1つとっても絶対追加はしないでしょう。しかし、そこまで財布のひもが固くない人は“玉子が安い。じゃあトッピングしようかな”となりますし、それがサイゼリヤでいえば、ワインやビールが安いから頼もうかなとなる。そういった人の取り込みで客単価が伸びているのだと思います」

ほかのファミリーレストランチェーンとサイゼリヤの“違い”は──。

「大きくはやはり“値上げをしない”という姿勢がいちばんの差別化であり、戦略だと思います。またサイゼリヤのメニューには幅がありますが、ベースはイタリアンです。ファミリーレストランではなく、イタリアンと考えたとき、ほかにもイタリアンのチェーンはありますが、比較すると“サイゼリヤのほうが断然安い”となります。エスカルゴであったり割と本格的なものも食べられ、安いというのは強い」

その安さから“サイゼしか勝たん”状態のサイゼリヤ。信頼できる庶民の味方ではあるが、“豪遊できるのはサイゼリヤ”というのは、今の日本社会・経済における庶民の悲しき現状とも言えるかもしれない……。

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