視力失った彼が「クライミング」で掴んだ生き様 ビジネスマンにも通じる「行動力」にある原点
「僕たちが最初に監督に話を持ちかけたときは、こんな壮大な話になるなんて思ってもみなかった。僕らはただフィッシャー・タワーズの頂上に行く映像を撮りたいね、というだけだったんで。今の時代は、人との関係が希薄になったり、新しいことへの挑戦に気がひけてしまいがちですけど、だからこそ、自分の人生と重ねて考えられるような映画になってほしい。
実際、この映画はクライミング映画でもなければ、福祉の映画でもない。僕らが旅をしていく中で、人生ってもっと楽しいんじゃないかと見つけていくような映画だと思っています」
16歳の時にクライミングに魅せられたコバだったが、そんな彼が進行性の病気である「網膜色素変性症」を発症したのは28歳のこと。それまで見えていたものが、徐々に見えなくなっていくと診断され「一瞬にして、今までの人生がすべてがれきと化してしまったようだった」という。
先の見えない不安に押しつぶされそうな日々を送っていた彼だったが、リハビリテーションセンターのケースワーカーから「あなたがやりたいことをやりなさい。あなたが自分自身の生き方を見つけ、あなたの人生を生きるのです」と言葉をかけられたことや、全盲のクライマーとして初めて世界7大陸の最高峰を制覇したエリック・ヴァイエンマイヤーとの出会いによって、しだいに自分の生きる意味を見つけていった。
人生を変えた出会い
「僕はすごく幸運な人間だと思います。たまたまの出会いでしたから。もちろんそのケースワーカーさんにかけられた言葉というのも、人によっては突き放されたような感じがして、受け入れられない方もいると思うんです。
でも僕の場合は、それがたまたま自分にとっての荷物を降ろしてくれるような言葉だった。エリックとの出会いもそう。たまたま彼が(メールに)返事をしてくれたから、彼に会うことができた。そういうふうに、たまたまが重なったものを逃がさずにできたのは、本当に運がよかったと思います」
エリックとの出会いは、コバの人生を大きく変えた。クライミングなら、障害があってもなくても、誰でも楽しむことができる。なら自分も日本で障害者にクライミングを教えたい。
「もし日本にそれが行われてないなら、それをやるのがコバの仕事なんじゃない?」。エリックが背中を押してくれたこともあり、「見えない壁だって、越えられる。」をコンセプトにしたNPO法人モンキーマジックを立ち上げることになる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら