あんしん生命、元営業職員4億円詐取に透ける課題 大量離職問題がもたらす再発防止の高い壁
2022年末、保険業界に衝撃を走らせた東京海上日動あんしん生命の元営業職員による巨額詐欺事件。
同社は事件発覚後、弁護士などを中心とする特別調査委員会を設置し、事件発生の経緯や営業管理体制など組織上の問題点について調査。2023年4月に報告書をまとめた。
報告書を読み進める中で見えてくるのは、あんしん生命に限らず業界全体に横たわる人材難という根深い問題と、それがもたらす再発防止に向けた高い壁だ。事件の経緯を振り返りながら、そうした問題点について詳しく解説していこう。
巧妙だった詐欺の手口
まず元社員による巨額の金銭詐取事件が発覚したのは、2022年10月のこと。ライフパートナー(LP)と呼ばれる40代の男性営業職員が、警察署に駆け込み自供したことがきっかけだ。
その主な手口は、契約内容の変更などと顧客に虚偽の説明をしながら、名義を元LPの知人などに巧妙に変更したうえで、その後解約や契約者貸し付けなどを利用し金銭をだまし取るというものだった。
元LPは顧客が不審に思わないように、「名義変更」などと書かれた部分に付箋を貼り隠しながら手続きさせていたといい、書類を記入した顧客が名義変更の手続きだったと気付いていなかったケースもあったという。
あんしん生命では事件発覚前まで、契約名義を変更しても変更前の名義人には通知を送付しない対応をとっており、元LPはその仕組みを熟知したうえで悪用したとみられる。このほか架空契約といった手口も駆使しており、被害者は個人7人、法人13社で被害金額は合計で4.1億円にも上るという。
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