金融庁、エヌエヌ生命保険に業務改善命令発動へ 「節税保険」で組織的な不適切販売を問題視
金融庁は2月中にも、外資系のエヌエヌ生命保険に対して、保険業法に基づく業務改善命令を出す方向で検討に入った。金融庁は法人向けの「節税保険」をめぐる不適切販売について問題視しており、2022年2月に報告徴求命令を出したほか、同年9月からは立ち入り検査に踏み切って実態を詳しく調べていた。
保険の「節税売り」に鉄槌
金融庁が問題視しているのは、低解約返戻金型逓増定期保険という商品を利用した「名義変更プラン」と呼ばれる租税回避行為だ。
同商品は契約から5年が経過すると、契約者が受け取る解約返戻金が大きく跳ね上がる仕組みになっている。また契約名義を法人から個人に移すと、解約返戻金は税制上一時所得の扱いとなる。そうした仕組みを利用して、5年目を迎える直前に名義を法人から個人に変更して契約を譲渡することで、税負担を一時的に大きく軽減するというものだ。
節税保険をめぐっては、金融庁や国税庁が2019年以降、不適切販売について取り締まりを強化している。こうした名義変更プランによる租税回避行為は、2021年6月に国税庁が実施した所得税基本通達の改正によって封じられたほか、通達改正以前の過去の契約についても、さかのぼって節税を不可能にする厳しい措置を講じていた。
過去の契約にもさかのぼることで影響を受ける契約者が多いという重大性を踏まえて、金融庁は名義変更プランの売り込みに汗を流していた一部の生命保険会社に対する監視を強化。調べを進める中で、2022年7月には外資系大手のマニュライフ生命保険に対し行政処分を下している。
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