金融庁、エヌエヌ生命保険に業務改善命令発動へ 「節税保険」で組織的な不適切販売を問題視

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エヌエヌ生命も同様に、2021年まで旧経営陣をはじめとして組織的かつ反復的に不適切販売にいそしんでいた疑いが強かったことから、マニュライフ生命に対する処分後間もなくして、金融庁は立ち入り検査に踏み切り、このほど業務改善命令の発動を検討するに至ったというわけだ。

節税の指南書まで作成して販売を拡大

さらに金融庁は、販売方法やコンプライアンス(法令順守)体制についても問題視している。エヌエヌ生命の関係者によると、同社の営業担当者が名義変更による節税のカラクリを解説した「指南書(私製文書)」を内々に作成し、税理士などが営む保険代理店を通じて拡販していたという。

エヌエヌ生命の資料
「中小企業サポーター」を標榜し、法人向け販売に注力してきた。写真はエヌエヌ生命の商品パンフレット(記者撮影)

また、こうした不適切販売を防ぐためには体制整備やコンプライアンス方針の策定が必須。だが、「なおざりの状態で、組織的な牽制機能はないに等しい状態だった」とエヌエヌ生命の元社員は明かす。

そのため今後は内部統制などの体制整備に加えて、ビジネスモデルの抜本的な見直しも不可欠だ。なぜならエヌエヌ生命は中小企業オーナーを主な顧客として、「売り上げの8割前後は節税絡みの商品」(前出の元社員)という状況にあるからだ。とはいえ、死亡保障など純粋な保障性商品の販売にすぐに舵を切るというのも容易ではない。

収益の柱が崩れ落ちる中で、業界内では再編候補の筆頭格として取り沙汰されているものの、関心を示している生保があるとの声は今のところ聞こえてこない。となると経営を監督する金融庁は今後、保険販売の適正化と併せて、事業の再構築や経営の持続可能性に関する綿密なモニタリングも必要になりそうだ。

中村 正毅 東洋経済 記者

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なかむら まさき / Masaki Nakamura

これまで雑貨メーカー、ネット通販、ネット広告、自動車部品、地銀、第二地銀、協同組織金融機関、メガバンク、政府系金融機関、財務省、総務省、民生電機、生命保険、損害保険などを取材してきた。趣味はマラソンと読書。

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