無名の日本人映画監督が世界進出をかなえた秘訣 100以上の海外映画祭に出品、「サードドア」発見
イギリスへの飛行機の中で「アレックスって、私と同じことをやってるな」と思いながら読みました。
本書は、主人公のアレックスが、よりよく生きる秘訣を求めてたくさんの「成功者」たちへのインタビューにこぎ着けるまでの物語が軸になっています。
それはまさに私が帰国後にさまざまな映画関係者とのインタビューの中で経験するであろうことでしたし、本の後半で、アレックスが次々インタビューを実現させて、自分にとっての「成功」とは何かを形作っていく様子は、私自身がこれから立ち合う場面かもしれないと想像しました。
映画界の3つのドア
アレックスは、いろんな人に何度もメールを送って連絡を取り付けようとします。
私自身、渡英前に、自分の映画を見てもらいたい一心で、何百とあるロンドンの映画会社に「SCI-FI-LONDONでの上映を見に来てください」というメールを無差別に送りつけていました。
そのようなメール(知らない人に向かって売り込みをかけるメール)に「コールドメール」という名前があることは、本書を読んではじめて知りました。
アレックスが本に描いた「サードドア」という言葉の意味合いには、私が『世界で戦うフィルムたち』で描いた、若手たちが映画監督としてキャリアを積むため、なんとか扉を開けていこうとする姿に通ずるものがあります。
映画業界では、自分の作品を世界に知られるステージに上げるために、いくつかのドアがあると私は考えています。
1つは、カンヌ、ベルリン、ベネチアの3大映画祭で新人として監督作品が選ばれ、才能を発掘されるというドア。アレックスの言うファーストドアです。
もう1つは、大物プロデューサーや大手の映画会社など、映画製作のための強いコネクションを持つ方々と知り合うというドア。これがセカンドドアです。
私は、そのどちらにも縁がないなと思っていました。特に日本の場合、インディペンデント映画は厳しい世界です。
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