本州と北海道結ぶ「貨物新幹線」実現への大胆試案 門型クレーンを活用して貨物駅をコンパクトに

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車両は、旅客新幹線車両をベースとし、在来線貨物列車のコンテナを積載して高速走行できるものを開発・製造する。軌道破壊量は軸重(車重+積載重量を4で割ったもの)と速度に応じて増えるので、旅客より積載重量が大きくなる貨物では、車長をミニ新幹線以外の旅客新幹線の25mより短い20mとし、かつ狭い車幅として軸重をできるだけ小さくする。

走行速度が高いほど旅客新幹線とダイヤを調整しやすくなる一方、積載重量を大きくするには速度を制限しなければいけない。そのための方策として、できるだけ高速かつ多く積載できるよう、貨物駅で2段積みしない前提の軽量コンテナを開発し、満載・軽量積載・空のコンテナを編成内でバランスさせ、積載重量に応じた運賃に、といった工夫をする。また、すれ違い時にコンテナが落下しない構造とし、共用走行区間の全列車の速度制限を解除する。

門型クレーンでコンテナ積み替え

新幹線貨物駅をコンパクトにするのに、コンテナを多数滞留させない仕組みも重要だ。そのため貨物駅では新在の貨物列車を並べて停車させ、門型クレーンでコンテナを積み替える。港湾では昭和30年代から普及しており、ヨーロッパでは軌間の異なる国境で長年行われている。門型クレーンを多数設置することにより積み替えは数分で済む。積み替え箇所は架線レスとし、その区間での減速時は回生ブレーキでバッテリーへ充電し、短距離の加速時はバッテリーから放電する。

道内の新幹線貨物駅は、新在が近接する新函館北斗・長万部・倶知安と、旅客新幹線から若干延伸する札幌貨物ターミナルとする。存廃が危ぶまれる並行在来線の函館―長万部―小樽間は、貨物新幹線の末端輸送を担う。貨物列車は高速・重量から低速・軽量となり、線路保守費は大幅に低減する。

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