本州と北海道結ぶ「貨物新幹線」実現への大胆試案 門型クレーンを活用して貨物駅をコンパクトに

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JR貨物のディーゼル機関車DF200。北海道に貨物新幹線が走る日は来るか(写真:STUDIO EST/PIXTA)
北海道新幹線の札幌延伸時に貨物新幹線を実現することは可能なのか。「満員電車ゼロ」を実現するための方策を提案して小池百合子氏の東京都知事選当選に一役買った鉄道コンサルタントの阿部等氏がその方策を提案します。

国土交通省は2022年7月に「今後の鉄道物流の在り方に関する検討会」の中間取りまとめを発表し、「新幹線による貨物輸送の拡大に向けた検討の具体化」を課題とした。

長万部町の木幡正志町長は貨物新幹線の実現と町へのターミナル誘致を悲願としており、貨物新幹線を2030年度予定の北海道新幹線の札幌延伸時に本格運行できるよう、早く安く実現する方策を町ホームページにて公開している。本稿では、そのエッセンスを紹介する。

貨物新幹線が多くの課題を解決

北海道新幹線の札幌延伸に伴い、鉄道貨物の大動脈である函館本線の新函館北斗―長万部間はJR北海道から経営分離される。北海道及び沿線自治体が主体となり旅客列車を運行することは否定され、廃線の危機に瀕している。それに対して、新幹線札幌延伸と同時に貨物新幹線を本格運行することで問題を解決できる。

青函トンネルを含む82kmの共用走行区間は標準軌1435mmと狭軌1067mmの双方の列車が走行できる三線軌条となっており、旅客新幹線と在来線貨物列車が同一線路を走行している。それらのすれ違い時の安全確保のため、旅客新幹線の最高速度はトンネル内時速160km、トンネル外時速140kmに制限されている。それに対して、すべての貨物列車の前頭や側面の形状等の空力特性を旅客新幹線と同等以上とすることで、旅客新幹線の速度制限を解除できる。

速達性と同時に自然災害への強靭性が高まる効果も大きい。新幹線は在来線より100年前後新しいため、土木的な強度が圧倒的に高く、台風・地震・大雪・強風等による遅延・運休や長期不通を激減できる。効率的な輸送は道内の商品・製品の競争力を高め、雇用を創出して地方創生に資し、大都市への一極集中の緩和にも貢献する。また、国内の物流をトラック・海運から鉄道へシフトさせ、地球温暖化問題やトラックドライバー不足問題の解決にも貢献する。

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