「クロストレック」走りだけじゃないデキの良さ 商品性の高さも絶妙でポテンシャルは高い

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シート素材は、スタンダード仕様の「Touring」がトリコット、装備が豊富な「Limited」にはファブリック(どっちもファブリックだけど)が設定される。

オプションで本革シートも選べるが、動物福祉の観点からレザーフリーが叫ばれる昨今の傾向とあいまって、作りもよく、滑りにくいファブリックシートに軍配を上げたい。

上級グレード「Limited」のシート。素材感は良好(写真:SUBARU)

「より広範囲かつ高精度な認識性能と360度センシングを実現」したとスバルがうたう新型アイサイトは、当然クロストレックにも搭載。広角単眼カメラとステレオカメラを使うのが特長で、高速道路上ではスムーズな追従走行と車線中央維持を味わえた。

大きすぎず小さすぎない絶妙なサイズ感

試乗してみて、「とても自分がなじめるクルマ」だと感じられたクロストレック。価格は、17インチホイール装着でオーディオレスのベーシックなTouringだと、前輪駆動が266万2000円、AWDが288万2000円と、全輪駆動でも300万円を切る。

18インチホイールやカーナビ付きの11.6インチモニター、そして視界拡張テクノロジーや運転支援テクノロジーつきの「アイサイトセイフティプラス」を装備する上級グレードのLimitedは、前輪駆動が306万9000円で、AWDが328万9000円だ。

手前がLimited、奥がTouring。ホイールのデザインなど細部が異なる(写真:SUBARU)

価格からすると、スバル車オーナーが気にしそうなのはフォルクスワーゲン「ゴルフ」だろう。ゴルフは1.0リッター3気筒ターボを搭載する「eTSI Active」の338万9000円〜。ただし、こちらは前輪駆動だし、内容にはだいぶ差がある。

日本車で競合を探すと、全長4575mmで前輪駆動もAWDもある「マツダCX-5」が、価格的にもドンピシャのライバルとなる。ただし、装備を視野に入れると、提供されるものが異なってくる。

極太のルーフレールなどタフさを強調したテイストはクロストレックならでは(写真:SUBARU)

クロスオーバー的なモデルとしてはトヨタ「ヤリスクロス」やマツダ「CX-30」があるけれど、サイズがもっとコンパクトになってしまうし、「RAV4」だと逆に大きめ、かつ高め。

そう考えると、クロストレックの商品設定はいいとこをついていると思う。若者がメインターゲットなんて説明も受けたけれど、幅広い層に受け入れられるポテンシャルのあるクルマだと感じた。

<スバル クロストレック AWD>
全長×全幅×全高:4480×1800×1575mm
ホイールベース:2670mm
車重:1550kg
パワートレイン:1995cc 水平対向4気筒ガソリンエンジン+電気モーター(マイルドハイブリッド)
最高出力:107kW/6000rpm
最大トルク:188Nm/4000rpm(+65Nmモーター)
変速機:無段変速(マニュアルモード付き)
WLTCモード燃費:16.4km/L
価格:288万2000円〜
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小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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