GWに家族全員で話したい「生前贈与」のススメ おトクな相続術やシミュレーション法を伝授

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2024年の制度適用前にもう一度、生前贈与を見直してみてはいかがだろうか(写真:Ushico / PIXTA)

数年にわたり議論されてきた「生前贈与」が、2023年度の税制改正で大きく変更され、2024年1月から適用されることになった。

この議論の発端となったのは、2020年度の税制大綱だった。「相続税と贈与税の一体化に向け、現行の暦年課税と相続時精算課税を見直す」と記されたことで、一時は「年間110万円の非課税枠が使えなくなるのでは」といった噂も飛び交い、注目を浴びてきた。

最終的に制度はどう変わったのか。どう活用すべきなのか。改正内容を解説しつつ、“生前贈与のススメ”をご紹介したい。

相続や贈与を検討する際には、当然、家族との相談も必要になるだろう。親、子、孫が集まる数少ない機会であるこのゴールデンウィーク(GW)を使って、話をする場を設けてみてはいかがだろうか。

生前贈与するための2つの手法

改正の内容を解説する前に、まずは生前贈与の制度を見ていこう。生前贈与には大きく2つの課税方式がある。「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」だ。

「暦年贈与」は年間110万円までの贈与が非課税となり、110万円を超えた分に対して累進で税率10〜55%の贈与税がかかる制度だ。冒頭の「110万円の非課税枠が使えなくなる」というのは、この制度のことだ。最終的に110万円の基礎控除(非課税枠)があり、2024年以降も存続することが決まっている。

「相続時精算課税制度」は2500万円までの贈与については贈与税がかからないが、贈与した人が亡くなったとき(相続時)に、贈与した額を相続財産に加算して相続税を計算する制度だ。生きているうちにお金を受け取ることはできるが、相続財産に加算されてしまうため、相続税の節税にはならない。

今回の改正ではこの2つの制度それぞれに変更が加えられている。

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