杉江:まず、ペルソナ(想定するユーザー像)のペインポイントを徹底的に洗い出しました。「歩道を走れるスクーター、私の新しいスタンダード」というキャッチコピーです。
新しいカテゴリが欲しいね、ということで、ポジショニングマップも描きました。左側がシニア向け、右側が若い人向け。上が歩行領域。下が車道領域。WHILLのモデルSは、イメージとして若々しく、安定感と安心感があって歩行領域を走れるというポジションです。
デザインはシンプルで軽快なものにしています。自転車のように気軽に乗れつつ、かつ4輪で安定感を出しました。車体のカラーも4色あります。500mは休みなく歩ける方が利用するのを想定していて、最大時速も6km/hなので免許不要で歩道を通行可能です。
井上:わたしも先ほど試乗させていただきましたが、運転がとても楽しくて、電気自動車に乗っている気分でした。ユーザーにとって便利な機能がたくさんありそうです。
免許返納者、家族、売り手それぞれの事情
杉江:お客さまが外出する理由の1つはショッピングです。モデルSにつけるカゴの大きさもすごく考えました。
アメリカのシニアは1週間に1回まとめ買いしますが、日本の場合はこまめにします。だいたい2日に1回です。ご高齢の方が1日に買う量はどれくらいかを調査して、牛乳パックが6個分入る大きさに決めたんです。
さらにモデルSだけのプレミアムサービスとして、保険、ロードサービスなどがセットになったサポートサービスに、本人と家族が離れていてもモデルSを介して外出情報を共有できるWHILL Family Serviceを組み合わせたサービスを開始しました。
われわれの製品は自動車のディーラーのチャネルで扱ってもらっているので、自動車保険のようにアフターサポートも充実させて、販売だけでなくその後もお客さまと関係性を維持できる体制を整えています。販売する側にも馴染みがあるものがいいんですね。
息子さんや娘さんが、お母さんやお父さんのためにWHILLを購入するケースが増えてるんですよ。免許返納を促してプレゼントしたり、高齢になり足腰が弱くなった親を心配して外出してほしいと勧めたり。
そのとき、息子さんや娘さんにとってのペインは、「これに乗って事故に遭っていないか」「プレゼントしたWHILLでちゃんと出かけてくれているか」「ちゃんと家に帰ってきているか」という心配です。
だから、ちゃんと動いているかを知らせ、万が一の出来事が起こった時も通知が届き、そのままロードサービスを呼べるようにしているんです。
井上:ペルソナが免許を返納するときの状況を、徹底的に想定されたんですね。
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