日本を「漁業大国」と思っている人が時代遅れな訳 魚の値段がどんどん高くなる2つの理由を解説
そこで本来最後に頼るのは、国内の水産資源です。しかし、今のままでは減る一方なので、国は2020年に70年ぶりといわれる漁業法の改正を行いました。
北欧やオセアニアをはじめ、漁業・水産業で成長を続ける国々では、水産資源管理を漁業者でなく、国が「国民共有の財産」として自ら行っているのに対し、日本では必ずしも科学的根拠に基づかない自主管理が広く普及してしまっています。世界で自主管理により資源が持続的になっている例は聞いたことがありません。
また、魚が減少している本当の理由や、世界での成功例についても、多くの誤った情報で国内水産業は混乱しています。その代償を国民が払い続けされられていることに、ほとんどの人は気づいていません。
かつては世界最大の漁業国だった日本
東日本大震災で被災した三陸沖も含め、日本の海は世界3大漁場の1つである北西太平洋海域に含まれています。
大陸棚や寒流と暖流が出会う漁場は、非常に資源が豊かな好漁場でした。他の2漁場は、ノルウェー・アイスランドを含む北東大西洋海域と、アメリカ・カナダ東海岸を含む北西大西洋海域です。今回日本を追い越したノルウェーは、北東大西洋海域にあります。
ただし、日本の順位が落ち続けているのは、他国の生産量が伸びていることよりも、むしろ日本の生産量が減り続けていることにあります。
なぜなら漁業・水産業で成長を続ける国々では、実際に獲れる数量より大幅に漁獲を減らすことで漁獲量を制限しています。一方で、日本はできるだけ獲って資源を減らしてしまう例外的な国になっています。世界銀行やFAOが予測する日本の漁業の未来は非常に悲観的で、そのとおりどころか前倒しして悪化しています。
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