日本育ちでも英語を習得、4つの「意外な共通点」 小さな事を積み重ねて日々を英語浸けにしよう

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そもそも、出願の段階から、必要な情報は自分で大学にコンタクトを取ってコミュニケーションをとる力が求められます。例えば学校の成績の付け方や奨学金について、あるいは求められている出願書類が日本の高校では対応しきれないケースなど、一筋縄ではいかない問題がしょっちゅう発生するので、その都度、頼みごとや交渉ごとを自分で全て背負わなければいけません。もちろん、専門のエージェントにお任せする方法もあるとは思いますが、むしろ今回のインタビューでは、「この逆境も成長の機会だと捉えて乗り越えたら、英語が上達した」と答えてくれた人が少なくありませんでした。

カナダのアルバータ大学の研究者2名が、移民や留学生など2163名の大学生を調査した研究では、自分の能力は努力によって高められると信じ、失敗や困難な状況をチャレンジだと前向きに捉えるマインドセット(これを「グロースマインドセット」=growth mindsetと呼びます)を持つ学生は、より高い英語力を身につけることがわかっています。

まちがえることは悪いことじゃない

少人数制で学部教育に力を入れるアメリカのリベラルアーツ大学を経てイェール大学院を卒業した砂山朋美さんは、幼い頃母親からよく、「別にまちがえることは悪いことじゃないんだよ」と言われていたそうです。

『海外の大学に進学した人たちはどう英語を学んだのか』(ポプラ新書)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

「中学では文法知識がこんがらがってしまって、英語が苦手でした。でもテストで良い点数が取れなくても、私の母は『間違えたところを見直してできるようになればいい』といつも言ってくれたんです。けして結果で評価することはなく、失敗もいい経験だと言ってくれる親だったから、物理学者になりたいとかアメリカに行きたいとか、ハードルが高い進路選択でも情熱を失わず、粘り強く前向きにやっていけたのかなって思います」

こうした数値では測れない粘り強さや、失敗してもめげない前向きさが第2言語習得とどう関係するかの研究は始まったばかりのようです。

この点については書籍内では脳神経科学の知見から専門家の青砥瑞人(あおとみずと)さんにも詳しく伺っていますが、今回のインタビューやこれまでの取材を通じて多くの海外大生の話を聞く限り、英語力向上に大きく影響しているのではないかと感じています。

(8つのうち2つについてつづった、前回の記事はこちら

加藤 紀子 教育ジャーナリスト

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かとう のりこ / Noriko Katou

1973年京都市生まれ。1996年東京大学経済学部卒業。国際電信電話(現KDDI)に入社。その後、渡米。帰国後は受験、英語教育、海外大学進学など、教育分野を中心にさまざまなメディアで旺盛な取材、執筆を続けている。2020年6月発売の初著書『子育てベスト100』はAmazon総合ランキング1位を獲得。17万部のベストセラー本となり、韓国、台湾、中国、タイ、ベトナムでも翻訳出版されている。

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