中国のディスプレーパネル最大手の京東方科技集団(BOE)は4月3日、2022年の通期決算を発表した。同年の売上高は前年比19.3%減の1784億1400万元(約3兆4443億円)、純利益は同70.9%減の75億5100万元(約1458億円)に落ち込み、大幅な減収減益となった。
決算報告書によれば、上記の純利益には固定資産の売却益54億4500万元(約1051億円)や政府からの補助金54億5900 万元(約1054億円)などが含まれている。それらの一時的な利益を差し引くと、BOEの2022年の損益は赤字だった計算になる。
業績悪化の主因は、ディスプレーパネルの需要が2022年を通じて低迷したことだ。ロシアのウクライナ侵攻、世界的なインフレ高進、中国での新型コロナウイルスの感染拡大など複数の要素が重なり、消費者の購買心理に冷や水を浴びせた。その結果、BOEの製品は出荷量だけでなく販売単価も大きく下がり、売上高と利益率が押し下げられた。
2200億円超の減損処理を実施
ディスプレーパネル市場の低迷が長期化するなか、BOEは2022年の決算で(製品在庫など)複数の保有資産の減損処理に踏み切った。同社によれば、その引当金として総額115億3000万元(約2226億円)を計上したことにより、損益に対して30億3400万元(約586億円)相当のマイナスの影響があったという。
市場調査会社の群智諮詢のデータによれば、2022年の全世界のディスプレーパネル生産額は約1011億ドル(約13兆4356億円)と、前年比約27%減少した。
「2022年のディスプレーパネル業界は、かつてなく厳しい市場環境に直面した。そんななか、わが社は業界平均を上回るパフォーマンスを確保した」。決算報告書の中で、BOEの経営陣は2022年の業績についてそう自己評価した。
なお、2023年の事業環境の見通しについて、BOE総裁(社長に相当)の高文宝氏は業績説明会で次のように述べた。
「ディスプレーパネルの需要回復は、国際的な政治・経済の(今後の)動きにかかっている。2023年も高い不確実性が改善しなければ、消費者心理は好転しない。世界情勢がより安定し、人々が将来に明るい展望を持つようになることで、業界に活気が戻ることを期待している」
(財新記者: 翟少輝)
※原文の配信は4月4日
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