ディスプレーパネルの需要低迷が、中国大手のTCL科技集団の業績の重しになっている。同社は3月30日に2022年の通期決算を発表。同年の売上高は1665億5000万元(約3兆2090億円)と前年比1.8%の微増にとどまり、純利益は2億6000万元(約50億円)と前年の約40分の1に激減した。
TCLにはディスプレーパネル、太陽光パネルおよびその材料、(家電製品やスマートフォンなどを含む)スマート端末という3つの主力事業がある。ディスプレーパネル事業は子会社のTCL華星光電技術(CSOT)が主に手がけており、2021年にはTCLの連結売上高の半分以上を稼いでいた。
しかし、2022年のディスプレーパネル事業の売上高は前年比25.5%減の657億2000万元(約1兆2663億円)に落ち込み、連結売上高に占める比率は39.5%に低下した。
一方、太陽光パネル事業の2022年の売上高は670億1000万元(約1兆2911億円)と、前年比63.0%の成長を達成。連結売上高に占める比率は40.2%に上昇し、初めてディスプレーパネル事業を上回った。TCLの売上高が前年比プラスを維持できたのは、ディスプレーパネルの減少を太陽光パネルの増加で穴埋めできたおかげだ。
価格維持より在庫圧縮を優先
「2022年のディスプレーパネル業界は、かつてなく厳しい世界的な冷え込みに見舞われた。(ロシアのウクライナ侵攻や米中対立のエスカレートなど)地政学的な緊張の高まりや、インフレ高進など複数の要因が重なったためだ。ディスプレーパネルの最終需要は大きく縮小し、市場価格も過去最低の水準に落ち込んだ」。TCL董事長(会長に相当)の李東生氏は、厳しい経営環境を決算報告書のなかでそう振り返った。
市場調査会社のCINNOリサーチの推計によれば、2022年の全世界のディスプレーパネル出荷量は面積ベースで前年比7%、数量ベースでは同8%以上の減少となったもようだ。
そんななか、TCLは価格の維持よりも在庫圧縮を優先させる戦略をとった。その結果、2022年のディスプレーパネル販売量(面積ベース)は前年比8.3%増加。一方、製品の値下げによる利幅縮小により、ディスプレーパネル事業の粗利率は前年の24.62%から0.87%に低下した。
中国のディスプレーパネル業界では、TCLのライバルである最大手の京東方科技集団(BOE)も厳しい経営を迫られている。BOEが1月30日に発表した業績予測によれば、2022年の純利益は前年比約7割減の75億~77億元(約1445億~1484億円)となる見通しだ。
(財新記者: 顧昭瑋、翟少輝)
※原文の配信は3月31日
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