1つ目は日系乗用車メーカーでも明暗が分かれていることだ。長年、中国で日系メーカー首位だった東風日産の2022年販売台数は、89万台だった。東風日産の100万台割れは、2014年以来である。
また、東風ホンダは2020年の8位から、2022年は15位に転落した。一方、トヨタと広州汽車の合弁である広汽トヨタの販売台数は、コロナ禍前の2019年では66.5万台であり、日系メーカーの中では第5位だったが、2022年には97万台に増加。東風日産を抜き、日系メーカートップの座に就いた。
2023年1~3月の乗用車メーカー別販売台数トップ10を見ると、広汽トヨタは第6位、一汽トヨタは第9位となり、東風日産は第10位に順位を落としている。今後、トヨタが値引き攻勢で販売台数を維持していくと、それがホンダ・日産など日系同士の新車販売に影響を与えると考えられる。
カローラはじめ人気モデルの急減速
2つ目は、日系人気モデルの急減速だ。2023年1~3月の乗用車モデル別販売台数トップ10では、テスラの高級BEVを含むNEV6モデルがランクインしている。
日系車販売台数トップの東風日産「シルフィ」は、コストパフォーマンスの高さで2018年から中国乗用車市場のトップモデルとなっていたが、2022年にはBYDの王朝シリーズNEV「宋」に抜かれ、2位に転落。2023年1~3月には、4位となった。
セダンブランドのロングセラー、一汽トヨタ「カローラ」は、大衆車市場で競争力を維持しているものの、2022年の販売台数はピークだった2019年と比較して28%減少し、2023年1~3月にはトップ10圏外となってしまった。
セダン人気が下降する一方で、レジャー向けSUVは好調。乗用車販売に占めるSUVの割合は2012年には13%にすぎなかったが、2022年1~3月では46%に上昇している。
しかし、ここでも日系メーカーは苦戦気味だ。ホンダ「ヴェゼル」「CR-V」、トヨタ「RAV4」「ハイランダー」、日産「キャシュカイ」などの日系ガソリン車SUVは、長距離走行を考慮した乗り心地やデザインなどが評価され、クルマの個性を重視する若年層の取り込みに成功したが、2023年1~3月に上位ランクインしたのはCR-Vのみだ。
BYD「元」、宋、モデルYなどNEVモデルが圧倒的競争力を構築しており、日系ガソリン車SUVの人気モデルは存在感を示してはいるものの、すでに地場NEVモデルに太刀打ちできない状況になっているのである。
3つ目は、日本車の比較的優位分野が、大衆向けセダンと中高級セダンとなった点だ。人気モデルだけではなく、セグメント別の新車販売から、日本車と地場NEVの“好不調の2極化”が鮮明となっている。
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