私たち現代人が気づけば「井の中の蛙」に陥るワケ 知らずに「フィルターバブル」に飲み込まれている

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たとえば、辞書などを適当に開いてそこにある言葉と組み合わせて検索してみると、いつもと違う結果が出るはずです。ちょっとした行動の繰り返しが、未来の可能性を無限に増やしていくことにつながるんです。

一方、未来の可能性を感じたところで「どうせ世界は変えられない」という声もよく聞きます。本当にあなたには世界を変えられないのでしょうか?

たとえば、ぼくが今回の本を書いている2023年の世界人口はおおよそ80億人です。では、あなたが新しい視点を得たり考え方が変わったとします。80億分の1の人類が変化したことになりませんか? 

そういう視点を持つことが、希望につながります。ぼくたちは微力かもしれませんが決して無力ではないんです。現在、ネットワークでつながっているぼくたちは、きっと想像以上の力を持っています。

さらに、直接的な口コミだけでなく、態度や感情も人を隔てて影響を与えるという仮説があります。

つながることで変わる世界

医学博士であり社会学者のニコラス・クリスタキスによれば、幸福や孤独は知り合いの知り合いの知り合いまで影響を与えることができ、これを「三次の影響」といいます。それ以上離れるとほとんど影響がなくなりますが、それでも多少の影響は認められるといいます。

ネットワーク上のつながりが三次を越えると不安定になる理由としては、三次までは知り合いの知り合いが知り合いだったり、複数の線でお互いのネットワークがつながり補強されていることが多いのですが、三次を越えると関係線が減り、安定したつながりになりにくいんです。

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また、人間はいままでその生活範囲において、三次以上離れた人など存在しなかったため、三次を越えるような影響力を持つことは進化論的に必要なかったことも理由の一つと考えられています。

影響を与えられるのが知り合いの知り合いの知り合いまでじゃ、世界を変えることなんてできない、と諦めてしまっていいでしょうか? 

いやいや、ぼくにはこの仮説はとても希望的に聞こえます。

だって、直接自分の知り合いではない、知り合いの知り合いにも影響を与えられるなんて、すごいことだと思いませんか? ハッピーな人の知り合いの知り合いの知り合いまではすこしのハッピーが伝染するというんです。

ネットワークでつながった人間は次の進化のステージを迎えるのかもしれませんし、ぼくたちはもうすでに思ったよりもずっと世界に影響を与えられる存在なのかもしれません。

矢萩 邦彦 「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授

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やはぎ くにひこ / Kunihiko Yahagi

大手予備校で中学受験の講師として20年勤めた後、2014年「すべての学習に教養と哲学を」をコンセプトに「探究×受験」を実践する統合型学習塾「知窓学舎」を創設。「探究型学習」の先駆者として2万人を超える生徒を直接指導してきた。現在もプレイングマネジャーとして現場に立つ。多摩大学大学院で「実践リベラルアーツ論」を受け持つほか、中学・高校でもリベラルアーツの授業を担当している。

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