AIに低い評価をされた人に対し、なぜそうなったのか説明されない事態は避けられるべきだ。
ビジネスの効率化や拡大を目的に活用が広がるAI(人工知能)だが、一歩離れた視点で見ると、企業やそこで働く労働者を脅かす存在にもなる。日本では実際に、裁判や労使の問題に発展する事例も生まれている。
評点がいきなり下がる
昨年6月、東京地方裁判所である1つの判決が下った。原告は焼き肉・韓国料理チェーン「KollaBo」を経営する韓流村で、被告は大手グルメサイト「食べログ」を運営するカカクコムだ。東京地裁はカカクコムの独占禁止法違反を認定し、3840万円の損害賠償を支払うことを命じた。
裁判のきっかけは2019年5月にさかのぼる。「いったい何が起きているんだ?」。韓流村の任和彬(イムファビン)社長は、異変に気づいた。自社のチェーン店舗につけられた食べログの評点がいきなり下がっていたからだ。後に裁判の過程で判明するが、これは運営元のカカクコムが、掲載店舗に対する評点の「アルゴリズム(計算や処理の方法)」を変更した結果、起きた出来事だった。
食べログは国内最大級のグルメサイトであり、そこでの評点は店舗の売り上げに大きく影響する。実際に、食べログの評点引き下げにより韓流村は「全店の2割に当たる8店舗の閉鎖を余儀なくされた」(任社長)。
韓流村はカカクコムの行為の違法性と賠償義務を問うべく2020年5月に訴訟を提起し、約2年後に勝訴した(カカクコムは判決後に即日控訴)。
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