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クリエーターの75%は凡庸ならばAIに抹殺される ChatGPT到来を予言したSF作家が語るAIの未来

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「ディストピア」を阻止できるのは人間の希望だけ。20年後のAIと社会の未来を大胆に描く。

『AI 2041』共著者、SF作家のチェン・チウファン氏
チェン・チウファン(陳 楸帆)/『AI 2041』共著者、SF作家。1981年、中国広東省生まれ。北京大学卒業後、百度(バイドゥ)やグーグルに勤務しながらSF短編を雑誌に発表し、受賞歴多数。中国SFのアンソロジーである『折りたたみ北京』(3作品を所収)にて、欧米でも高評価。(写真:Yilan Deng)

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AI(人工知能)は人類の敵か、味方か。中国を代表するSF作家の一人であるチェン・チウファン氏は、近著『AI 2041』でChatGPTの到来を予言していた。チェン氏にAIと社会の未来の姿を聞いた。

──『AI 2041』は、AI学者として世界的に有名なカイフー・リー氏との共著で、あなたが2041年の社会を想像した物語を、リー氏がテクノロジー解説を担当するという構成になっています。この本にどう着手したのですか。

週刊東洋経済 2023年4/22号[雑誌](ChatGPT 仕事術革命)
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まず、2人でテクノロジーのマップを描き、リー氏が現実的な視点から今後20年間のテクノロジーの進化を推測した。そのうえで社会的・文化的にぴったりの場所を選び、キャラクターを設定した。

例えばアメリカのサンフランシスコを舞台にした物語では、建設などブルーカラーが担う従来型産業にまでテクノロジーが浸透し、仕事を奪われる人々の実態が描かれる。

こうした予測は今でもあるが、社会で実際に何が起こるのかまでは議論されていない。(失業者に)ベーシックインカムを導入するにしても、ただ収入面だけでなく、自尊心や尊厳をどう守るかといった課題もある。こうした多くの要素を話し合い、最適なアングルから物語を組み立てていった。

重要なのはシステムの変化

──著書では多様なテクノロジーや未来のビジネスモデルが数々出てきます。その中で予測が難しかったテクノロジーはありますか。

テクノロジーの進化はリニア(線的)ではないので、未来を描くのはどれも難しい。ChatGPTにしても、膨大な言語モデルを何十億ものパラメーターで操作するようなことが起こっていて、予想以上の急激な変化をもたらしている。一方、核融合発電にAIが利用されてクリーンエネルギー生産が実現すれば、エネルギーの心配がなくなり、文明がすっかり変わる可能性もある。

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