「ディストピア」を阻止できるのは人間の希望だけ。20年後のAIと社会の未来を大胆に描く。
──『AI 2041』は、AI学者として世界的に有名なカイフー・リー氏との共著で、あなたが2041年の社会を想像した物語を、リー氏がテクノロジー解説を担当するという構成になっています。この本にどう着手したのですか。
まず、2人でテクノロジーのマップを描き、リー氏が現実的な視点から今後20年間のテクノロジーの進化を推測した。そのうえで社会的・文化的にぴったりの場所を選び、キャラクターを設定した。
例えばアメリカのサンフランシスコを舞台にした物語では、建設などブルーカラーが担う従来型産業にまでテクノロジーが浸透し、仕事を奪われる人々の実態が描かれる。
こうした予測は今でもあるが、社会で実際に何が起こるのかまでは議論されていない。(失業者に)ベーシックインカムを導入するにしても、ただ収入面だけでなく、自尊心や尊厳をどう守るかといった課題もある。こうした多くの要素を話し合い、最適なアングルから物語を組み立てていった。
重要なのはシステムの変化
──著書では多様なテクノロジーや未来のビジネスモデルが数々出てきます。その中で予測が難しかったテクノロジーはありますか。
テクノロジーの進化はリニア(線的)ではないので、未来を描くのはどれも難しい。ChatGPTにしても、膨大な言語モデルを何十億ものパラメーターで操作するようなことが起こっていて、予想以上の急激な変化をもたらしている。一方、核融合発電にAIが利用されてクリーンエネルギー生産が実現すれば、エネルギーの心配がなくなり、文明がすっかり変わる可能性もある。
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