子供達が見た北海道新幹線「トンネル貫通」の瞬間 外界とつながると、一筋の光が差し込んできた

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一通りの説明が終わったあと、親子連れたちは再びバスに乗り込み、さらに奥に進んだ。覆工コンクリートが打設されてすべすべしていた壁は、吹付コンクリートのざらざらした壁に変わった。工事現場の最前線に近づいていることが伝わってくる。

それからまもなくして、バスはトンネルの先端に到着した。目の前にはツインヘッダーを装着した重機が置かれており、その先には切羽と呼ばれる掘削面がある。土がこぼれ落ちないようにコンクリートが吹き付けられている。幅は約1mで、これを削り取ると外界とつながる。

「もっと手前まで来てもいいですよ。でも赤白のコーンよりも前には出ないでくださいね」。竹村所長が子供たちを手招きした。報道陣も子供たちの後に続く。その後ろには作業員たちがずらり。手が空いている作業員は、たいてい貫通の瞬間を見に来るという。自分たちの苦労が目に見える形で報われる瞬間だからだ。

貫通の瞬間、差し込んだ光

14時19分すぎ、施工会社の所長が「掘削開始!」と合図をして、掘削機械が動き出した。轟音とともにツインヘッダーが手際よく土を削り取っていく。それから2分少々して、切羽に開いた穴の間から光がさっと差し込んできた。竹村所長の言う国縫トンネル貫通の瞬間に差し込んできた一筋の光もきっとこんな感じだったのだろう。「無事貫通しました」。施工会社の所長が竹村所長に報告した。

続いて、万歳三唱。山の神様に無事貫通したことを奉告し祝う儀式である。「ばんざーい、ばんざーい、ばんざーい」。野太い作業員の声に混じって、子供たちの甲高い声も聞こえた。その後は「清めの儀」として、掘削面が酒、米、塩で清められた。儀式が終わると、子供たちとその保護者たちは貫通した掘削面の前で記念撮影。子供たちや保護者も思い思いに自分のスマホで写真を撮影していた。その合間に子供たちに話を聞いた。4月から小学4年になる女の子は「すごいところを見た。勉強になった」と頬を紅潮させていた。

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