アシックス、東京五輪スポンサー契約の勝算  大金を投じた費用対効果はいかに?

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ゴールドパートナー契約はアシックスにとって援軍になるか

業績を牽引するのは、欧米向けのランニングシューズだ。前期の海外売上高比率は81%。欧州や米州は、5年前にともに500億円台だった売上高が、前期は1000億円の大台を突破した。ここ数年で急成長した、欧州と米州は、確実に収益柱となっている。

ランニングブームの追い風が吹く中、アシックスはニューヨーク、ロサンゼルス、パリをはじめ、世界の主要都市で開催されるマラソン大会のスポンサーを務め、ブランドの認知向上に力を注いできた。同時に、そのような都市には旗艦店クラスの大型店を積極的に出店。店舗では、三次元足型計測器を用い、顧客に最適なシューズを提案するなど、ランナーにアシックスブランドを訴求することに尽力してきた。地道な草の根マーケティングの結果、欧米では本格的にランニングに取り組むシリアスランナー市場で、圧倒的な支持を集めようになった。

アシックスに課題として残ったのは、「アパレル」と「日本市場」の部門だ。今期を最終年度とする中期経営計画では、目標数値を達成済み、あるいは達成見込みのカテゴリーが多い中、目標に届きそうにないのが、アパレル部門である。中計での今期の売上高の目標金額が850億円なのに対し、前期実績は637億円、今期見込みも667億円にとどまる。

日本市場は唯一、減益の部門   

もう一つの日本市場部門は、前期、唯一減益となったセグメント。前2014年12月期は変則9カ月決算で、収入源となる1~3月の数字が入っていない。ただ、12カ月だった2014年3月期の売上高セグメント利益率も、2.5%にとどまる。欧州部門の10.7%、米州部門の7.1%と比べ、利益率が低い。

日本市場は人件費などの固定費が他地域に比べ高い。加えて、欧米に比べ、ファッショナブルなブランドとしての認知が低いことが、伸び悩みの要因だ。尾山社長が「高校まではアシックス製のバスケットシューズの国内シェアは50%を超える。が、大学になると、海外ブランドに突然流れてしまう」というように、国内でアシックスば学校体育のブランド゙というイメージが先行している。

これに対し、ゴールドパートナーの契約期間中に開催される五輪では、日本選手がメダルを獲得すると、アシックスマークの入ったウエアが表彰台ではっきり露出される。東京五輪では、約8万人のボランティアもアシックスのウエアを着用する予定のため、宣伝効果は抜群だ。

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