「ノースフェイス」企業がオンライン接客重視の訳 絶好調「ゴールドウイン」に聞いたEC成功の秘訣

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

中には、「フリークスストア」を展開するデイトナ・インターナショナルの約60%、ベイクルーズの約40%などという高実績の企業もあるが、大半のブランドはいまだに70~80%をリアル店舗で稼いでいる。

つまり、リアル店舗はもっと強化され、大切にされなければならないし、ECもまだまだ伸ばせる余地がある。何より、相乗効果によってリアル店舗もECも成長し、全社の売上高を最大化する必要があるということだ。

自社ブランドの「ゴールドウイン」をはじめ、「ザ・ノース・フェイス」「ダンスキン」などを手がけるスポーツアパレルメーカーのゴールドウイン。技術力の高いモノづくりと、双方向型のコミュニケーションを軸に、アスリートから一般のスポーツファンまで幅広い顧客層を有している。

2021年度の売上高は982億円(前期比8.6%増)、営業利益は165億円(同11.2%増)で、中期経営計画では2025年度に売上高1250億円、営業利益210憶円を目標に掲げている。EC化率の目標は30%で、中でも自社ECの成長に注力している。

OMO戦略として、「顧客体験とLTV(ライフタイムバリュー)の向上を重点課題に掲げ、従来の『売って終わり』から、購入前後の体験や場の提供という新時代のカスタマージャーニーの構築を目指している」とゴールドウイン販売本部EC販売部長の梅田輝和氏は話す。

ゴールドウイン梅田氏
ゴールドウイン販売本部EC販売部長の梅田輝和氏(写真:『リアル店舗を救うのは誰か』より)

その一環として、「ニューEC」と呼ぶ第3のサイトをオープン。ザ・ノース・フェイスの人気カテゴリー(マウンテン、キャンプ、ランニング)を軸に、店舗とECで共通の顧客体験を提供する。

さらに、サステナビリティーの観点を含めて、オーダーメイド型の「在庫を持たない、在庫を残さないビジネスモデル」にも挑戦。商品をより長く大切に使ってもらうために、渋谷パルコやグランフロント大阪、ミヤシタパークなどの店舗で行ってきたカスタマイズサービス「141 CUSTOMS」をデジタル上でも展開できるよう現在検討中だ。

また、デジタルツールを活用した顧客と店舗スタッフとの新しいタッチポイントとして、SNSやWebサイト、ECなどの各ツールの役割の明確化とさらなる活用も推進。オンラインとオフラインの両面でアウトドアをサポートするイベントや、ビデオ通話によるコンシェルジュサービスもスタートしている。

OMOを本気で強化・推進するためのポイント

そんなゴールドウインがスタッフスタート(店舗スタッフがECサイトでも接客できるアプリケーション)を導入したのは、2020年6月のこと。それまで他社のツールを使っていたが、「会社への貢献や会社からの評価、お客さまからの反応、購入率などがまったくわからなかった。

店舗スタッフにしてみれば、『やらされている感』があるうえ、効果がわからないので、みんなモヤモヤしていた。時間もかかるし、忙しいからと、どんどん投稿数も頻度も減ってしまっていた」。

次ページ内装デザインや品ぞろえが同じ店はない
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事