セブンが仕掛ける壮大な「コンビニ改革」 ネット通販の本格化で店舗が担う役割とは?

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つまり、コンビニに単なる商品の受け渡し拠点ではなく、「営業拠点」の機能も持たせ、売り上げを伸ばそうとしている。すでに、店舗でチラシを作ってレジで声をかけることや、食事の宅配で家を訪ねた際に勧めることで、ネット通販の利用が増えているという。

多くの客が来店し店員も入れ替わる中で簡単なことではないが、客の生活スタイルや好みを把握し、商品を提案するのが理想型だろう。

現場には期待と戸惑い

食事の宅配で消費者の家に訪れた際に行う”ご用聞き”も重要になる

関西地方のある加盟店オーナーは「新しいことをやらないと生き残れない。しっかり対応していきたい」と前向きだ。とはいえ、コンビニが便利になればなるほど、店舗側の負担は増える。ネット通販の本格展開で、コンビニは商品の保管や配送、返品手続きなど、数多くの作業を強いられる。

これに対して、「正直、何がメリットになるのかわからない」と、関東地方のあるオーナーは戸惑う。「客が増えるかもしれないし、(通販関連の)手数料収入もある。けれど今でも人手が足りず大変なのに、とても対応できない」からだ。

商品を取りに来た人がついで買いするメリットを強調するなど、セブン本社はさまざまな説明を重ねている。加盟店のやる気を高めるには、現在は手数料しか入らない加盟店に、ネット通販の利益をさらに分配することも重要だろう。楽天やアマゾンが台頭する中、セブンの通販サイトを利用してもらうには、魅力的な商品をそろえることも不可欠だ。今や国民のインフラとなったコンビニで、王者セブンの壮大なる実験が始まろうとしている。

「週刊東洋経済」2015年4月18日号<13日発売>「核心リポート03」を転載)

田野 真由佳 東洋経済 記者

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たの まゆか / Mayuka Tano

2009年に大学を卒業後、時事通信社を経て東洋経済新報社に入社。小売りや食品業界を担当し、現在は会社四季報編集部に所属。幼児を育てながら時短勤務中。

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