資産1億円超え34歳が語る「FIRE後」の投資の変化 高配当株・連続増配株への「こだわり消失」の背景

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理念に賛同でき、社会的意義を感じる会社への投資は、単なる利殖(りしょく)とは異なります。企業の理念や公益性を支援し、社会に貢献する投資活動は、自分のお金を社会に還元する意味合いがあります。利殖目的ではないため株価はあまり気にならず、精神的にも充実します。

公益性を重視して投資銘柄を決めることから、私は「公益投資 」と呼んでいます。このような投資もぜひ視野に入れてみてはいかがでしょうか。

FIRE前後のポートフォリオを比較

下の図が、FIRE前のポートフォリオです。国ごとに保有銘柄を色分けしており、面積の大きさは保有比率の度合いを表しています。

■FIRE前…高配当株・連続増配株がメイン 

たとえば当時の数値ですが、配当利回り約6%、連続増配年数が約50年の米国たばこ大手の「アルトリア・グループ」や、配当利回りが約5%で連続増配年数が40年(分社前をふくむ)を超える米国製薬大手「アッヴィ」などです。  

FIRE前のポートフォリオ(出所:『経済・精神の自由を手に入れる主体的思考法 #シンFIRE論』) 

表で示した以外の投資先 

●米国……デューク・エナジー、iシェアーズ米国リートETF 

●日本……スターアジア不動産投資法人、タカラレーベン不動産投資法人、スターツプロシード投資法人、Oneリート投資法人、日本航空、三菱UFJフィナンシャル・グループ、ソフトバンクグループ、沖縄セルラー電話、ビックカメラ 

●ベトナム……ビンホアン水産、サオタ食品 

●香港……春泉産業信託(Spring REIT)、HSBC Holdings plc……など 

■FIRE後…競争力を感じる銘柄や、業界で支配的な地位を確立している銘柄 

投資先は各業界で競争力があると感じた「ディア」「コストコ」などや、コロナ禍から反転を見込めると判断した「日本航空」です(先述のとおり「エンビプロ・ホールディングス」は公益投資枠)。 

FIRE後のポートフォリオ(出所:『経済・精神の自由を手に入れる主体的思考法 #シンFIRE論』) 

配当を出していない無配株(例:ウォルト・ディズニー・カンパニー)や、配当が少ない低配当株(MSCI、ディアなど)にも投資しています。コストコ、MSCIなどは、低配当・高増配が続いています。アッヴィは高配当・高増配の傾向です。

■FIRE前後の共通点…個別株メインの投資
経済・精神の自由を手に入れる主体的思考法 #シンFIRE論
『経済・精神の自由を手に入れる主体的思考法 #シンFIRE論』(KADOKAWA)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

投資信託やETFは、運用会社が構成銘柄を入れ替えます。

対して個別株は、自分でどの銘柄を買うか選別します。

つまり、自分で主体的に決めるため、責任は自分にあり、どのような結果であっても納得がいくので自分には合っているスタイルだと感じています。

もちろん、ETFや投資信託は、低コストで簡便に分散投資できるため、一般的におすすめしやすい商品です。

穂高 唯希 投資家

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ほたか ゆいき / Yuiki Hotaka

ブログ「三菱サラリーマンが株式投資でセミリタイア目指してみた」を運営。14歳で金融に興味を持ち、慶応義塾大学在学中に北京大学留学、経済学を学ぶ。給与の8割を高配当株・連続増配株へ投資し、金融資産約7000万円、月平均20万円超の配当収入を得る仕組みを形成。30歳で退職しセミリタイア、FIREを達成。日本版FIREムーブメントの第一人者として新聞・TVなど多数メディアで取り上げられる。著書に『本気でFIREをめざす人のための資産形成入門』『経済・精神の自由を手に入れる主体的思考法 #シンFIRE論』がある。
 

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