資産1億円超え34歳が語る「FIRE後」の投資の変化 高配当株・連続増配株への「こだわり消失」の背景

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■収入の複線化 

「FIREしても会社をやめるリスクは高い」と懸念する人は多いでしょう。たしかに毎月の収入源を失えば不安になると思います。しかし私は、「給与を失う代わりに時間が生まれるため、かならず別の収入が生まれる」という確信を持っていました(繰り返しながら、私が一貫して掲げてきたFIREとは、はたらかないことではなく、あくまで自由で主体的に生きることが主眼です)。

結果的に、FIRE以降、企業から書籍や雑誌の執筆依頼、各種メディアからの取材やコラム連載、講演、番組出演等の依頼を頂きました。

これまでのブログ収入に加え、新たな収入が生まれたことで、株式投資による運用益や配当収入の必要性が以前より低下しました。結果的に後述のとおり運用スタイルが変わり、運用益と資産の拡大にも寄与しました。資産が増えるにつれ、お金へのこだわりが消えていきます。

また、農業を学んだことで作物という「現物収入」を得る方法を習得し、「現金収入」に対して以前より精神的に依存しなくなったのかもしれません。

利益のための投資から社会的投資へ

「共感できる企業理念を持ち、よりよい社会へ投資する銘柄」という観点で一部の投資をしたいと思うようになりました。

投資先の1つに、静岡県富士宮市に本社を置く日本の鉄鋼会社「エンビプロ・ホールディングス」があります。廃家電などのいわゆる都市鉱山から貴金属を回収する事業を営んでいます。

資源を持たざる国・日本において社会的意義を感じる事業です。ましてや、レアメタルなどは新興国の劣悪な鉱山労働、環境負荷のうえに採掘されているとみられるものもあり、一部の多国籍企業の利益は、新興国の犠牲のうえに成り立っている面も見られます。

同社代表取締役社長、佐野富和(さの・とみかず)氏はTVメディアで次のように語ります。

「循環型社会の実現のための課題解決を自分たちの事業モデルにしています。課題解決そのものが社会貢献につながりますので、事業の成長と社会貢献が同期し、ほとんどストレスなく事業に専念できるという意味では、非常にいい事業をやっている会社だと、自負と誇りを持っております」

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