地元以外は知らない「東武の宇都宮駅」意外な一面 駅自体は小振りだが巨大な「東武初の百貨店」
百貨店は1995年に東京街道側の「西館」が開業してグランドオープンを迎えた。
売り場面積は3万2633平方メートルを誇る。鉄道駅直結のうえ路線バスの本数も多く、公共交通機関でのアクセスに恵まれた百貨店ではあるが、北関東のクルマ社会を反映して駐車場が充実している。
2001年開業の「プラザパーキング(第3)」は、大谷石建築として有名なカトリック松が峰教会の面する通りの上空を「プラザブリッジ」で越えた先にある。ボウリング場跡の下の階にある第1パーキングや提携駐車場を含めて計1600台を停められるという。街中にありながら大規模な駐車場を有している点が強みになっているといえそうだ。
同百貨店総務部担当部長の髙木史枝さんは宇都宮市の出身。遊園地があったころを「子どもたちが遊んでいる間に親御さんたちが買い物をし、レストランで食事をして帰る、といった『ザ・百貨店』でした」と懐かしむ。そのうえで「1959年にオープンしてから60年以上、この地で百貨店を継続してこられたのは地域のお客さまに支えられてのことですので、これからも生活のお役に立てる百貨店でありたいと思っています」と強調する。
繁華街近くに用地を確保
東武宇都宮線は1931年に開業した。東武鉄道百年史は当時の状況について、宇都宮と栃木の往来は小山経由だったため「これを直結する線路ができれば、利用客は大幅に時間と費用を節約することができる。当社のねらいはそこにあり、日光線建設で多忙中だったにもかかわらず、あえてこの建設に踏み切ったのである」と解説する。
「用地買収で特筆すべきは、終点・東武宇都宮駅の位置を、繁華街近くに確保できたことである。同駅の位置や面積いかんによっては、利用者にかなりの不便を強いるものになるため、この用地取得が、同線の死命を制するものとされていた」という。
沿線の河川敷からの砂利輸送で貨物収入も伸び、1940年には「東武宇都宮駅は、日光線関係の駅としては東武日光駅に次ぐ収入をあげるようになり、建設目的に沿う営業成績が見込まれることになった」(同)。
かつては浅草直通列車があり、2020年までは350型車両による特急「しもつけ」も運行されていた。現在はワンマン運転の20400型車両のみとなり、日中は1時間に上下2本ずつ発着。渡辺貞夫氏の「カリフォルニア・シャワー」の発車メロディが“ジャズの街宇都宮”をアピールしている。以前の「Passenger」は東武の駅で初の発車メロディだったという。
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