「原発再稼働」電気代高騰の中で議論したい論点 自民・細野氏と立憲民主・泉代表が激論交わす

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小川氏:例えば、小型炉は新しい発想だと思うが、3分の1ぐらいの出力だと、結局、スケールメリットでコスト面では弱くなる。大きなものを作った方がコスト面ではいい。小さくなるとは言え、崩壊熱や暴走した時のリスクは本質的には同じだ。更に言えば最終廃棄物の問題もあるので卒業するという意思はいずれにしても必要だ。ただ、核融合炉は暴走する危険性はない。今のところ現実化の見通しはないが、核融合技術だけは捨て去るには躊躇する。

(画像:FNNプライムオンライン)

原子力という選択肢を捨てるのか残すのか

細野氏:3.11は原発事故の危機だったのは間違いないが、もう一つの側面があった。エネルギー危機だ。当時の橋下大阪市長と大飯原発の再稼働問題で大喧嘩したが、その後再稼働した。つまり、エネルギーが供給できないと人が死ぬという現実に我々は直面したわけだ。久々にそういう局面にいま我々は直面している。当時よりエネルギー事情は悪い。原発がなかなか動かない状況は変わらないが、そもそも化石燃料が手に入りにくい。温室効果ガスの削減目標も迫ってきている状況で、原子力という選択肢をここで捨てるのか残すのか。政府はリプレースと言っているが、簡単なものではない。今の電力会社の経営陣の判断でそれだけ長期の投資ができるか。金融機関が(資金を)貸すかという問題もある。ただ、ここでその選択肢を残さないと、将来我々の子どもたちは再エネだけでやらなければならなくなる可能性がある。ブレイクスルーがあり、蓄電もできて安定的に燃料が供給できていればいいけれども、これはわからない。その時に原子力という選択肢も残すとすれば、もう最終局面だ。いま欧州では、英国やフランスは原発回帰が比較的うまくいっているが、ドイツはあまりうまくいっていない。なぜかというと、早い段階に脱原発をしたから産業がない、サプライチェーンがない、技術者がいない。日本も恐らくあと5年もすればそうなる。もうギリギリだ。原発の作業員も経験ない人が多く、新しい人材がなかなか入らない。ギリギリのタイミングで将来のために選択肢を残すのであれば、ここでやはりリプレースは判断であり、選択肢だ。

小川氏:国策としてすごく大事な議論だと思う。これに優る熱意で、いかに再エネを中心としたエネルギー供給網を作り上げるかというメッセージが伝わってくるのなら、百歩譲って私は(細野氏に)同感だ。3月1日に発表された米エネルギー省によるシンクタンクへの委託調査によると、日本は10年で電力の70%を再エネに持っていけるはずだという。残り2割に原発は残る。ということは9割が脱化石燃料だ。10年の投資額は約40兆円。しかし、毎年4兆円買っている油が要らなくなるので、10年ちょっとで元が取れるという分析を米国がしている。なぜこれを日本でやらないのだと言いたい。

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