セブン、サントリーと別れて付き合う相手 共同企画の缶コーヒーは1年余りで販売終了

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そこに割って入ったのが日本コカだった。ジョージアは売上1位とはいえ、2001年に1億4650万ケースあった売上はこの13年間で3割減。ジワジワと売り上げを伸ばすボスとの差を縮められてきた。また、「近年の(コンビニでの)カウンターコーヒーブームのあおりを一番受けている」(食品業界関係者)とされ、危機感を募らせていたともみられる。

ジョージアはすでにほかのコンビニと共同企画商品を発売している

セブンとの共同企画商品を発売した理由について、日本コカの和佐高志マーケティング本部副社長は「市場全体の活性化に繋がるうえ、売り上げ強化に繋がると判断した」と話す。もっとも、日本コカにとって缶コーヒーでコンビニと組むのはこれが始めてではない。2014年10月には共同企画商品として、ローソンから「ジョージア クラフトマンコーヒー」、サークルKサンクスから「ジョージア K's BREAK」を発売している。

サントリーになお”ラブコール”

セブンからすればジョージアとのダブルブランド商品は後発だが、4月3日の発表会見では、「『ジョージア プライベートリザーブ』は、『セブンプレミアム×サントリーボス』に比べて、粗利率が改善している」(鎌田取締役)と満足げ。取引奪取に日本コカが重ねた"努力"は大きかったようだ。

セブンの鎌田取締役は日本コカの担当者を前に大胆発言

ただ、日本コカもこれで安泰というわけではない。セブンの鎌田取締役は4月3日の新商品発表会見で、「サントリー様との門戸を閉ざすわけではなく、常にベストパートナーと取引をさせて頂きたいと考えている。もし、サントリー様から新しい提案があれば、それは打ち合わせをしたい」と、日本コカの担当者を前に堂々と明言した。

コンビニだけでなく、そごう・西武といった百貨店からイトーヨーカドーなどのスーパーまで、全国に約1万8000店の販売網を持つセブン&アイグループ。中核のセブン-イレブンは2015年度に1700店と過去最高の出店を計画しており、コンビニ業界の王者はさらに勢いづいている。セブングループが強大になればなるほど、圧倒的な販売力を味方につけるべく、メーカー間の争いはさらに激しさを増すことになりそうだ。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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