家臣は絶望、狂気の運ゲーだった「桶狭間」の真実 セオリー無視、秘策もなしの自滅作戦で幸運

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4万5000の大軍を率いる義元に向かって正面突破を試みる兵2000の信長。信長軍は豪雨の中で兵を進めてゆき、雨が上がったタイミングで襲いかかります。ここで信長に隠された秘策は……何もありませんでした。本当に、ただただ死ぬ気で正面突破を試みただけなのです。もはや自滅作戦以外の何ものでもありません。

しかし、この狂気じみた行軍がなんと大成功します。信長軍の圧倒的な気迫に押されたのか、義元軍は統率がとれず、一瞬で崩れはじめたのです。仕方なく義元は立て直すために本軍ごと撤退を開始しますが、前軍が崩壊した混乱が本軍にも波及したようです。

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なかなか思うように進めず、義元軍はますます大混乱。そんな中、信長は撤退する義元たちの姿を見つけます。「義元はあそこにいるぞ!」。信長がそう叫ぶと、両軍は壮絶な戦いを始めたのです。

多数の死者が出る乱戦となる中、事態は大きく動きます。信長軍の毛利新介らが、義元と直接戦うことに成功したのです。さらに毛利新介はこの戦いに勝ち、義元を見事に討ち取りました。大将を失った敵軍は総崩れとなり、信長は歴史に残る大勝を挙げたのです。

近年、合戦直前までの悪天候による今川軍の疲弊と鉄砲の威力低下を勝因に挙げる学説も登場しているものの、信長が多くを語らなかったため「なぜ勝てたのか」は実はよくわかっていない「桶狭間の戦い」。

しかし1つ言えるのは、信長は合理性を超えたところに自分の勝ち筋を見出し、それを信じたということ。それにより、信長の言う「運」をも味方につけたのでしょう。

齊藤 颯人 歴史ライター

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さいとう はやと / Hayato Saitou

上智大学文学部史学科卒業。「歴史研究の成果を楽しく、わかりやすく伝える」をモットーに、歴史解説や大河ドラマ関連取材、研究者へのインタビューなどを数多く担当。主な執筆・制作協力書籍に『一冊でわかる鎌倉時代』『一冊でわかる江戸時代』(河出書房新社)などがある。

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